あの子の手首に傷があろうがなかろうが
私には何も関係がない筈でした
彼奴のわざとらしく左腕を庇う動きに違和感を覚えて
見たのは数本の傷跡
あーあ
なんて言葉が先に出てきたのは
私は私の傷にアイデンティティを感じていて
あの子より不幸だって思えていたからなのでしょうね
死にたくなる
そんなのあの子と一緒だ
被害者面が得意なのは私も同じなのです
死ねばいいと、自分が一番わかっていました
あの子には包帯を巻いてくれる人がいる
学校に連絡してくれる人がいる
心配してくれる人がいる
泣きつける人がいる
わたしには何もなくて
私の取り返しのない傷はどうしたらいい?
もう治らないケロイドはどうしたらよかったんだろう
あの子のように綺麗に処置すればいいのかもしれない
でも私にそんな余裕はなくて
してくれる人もいなくて
1人で泣きながら血を見るのがどんなに痛いかなんて
お前なんかに気づいてほしくなかった
私だけが知ってること
皮膚が破れる瞬間の色と
震える右手とぼやけた視界
あの子に苦しめられた なんて言えば
お前は悪者になってしまうでしょうか
苦しむのが悪いのもわかってる
私の心が弱いせいで
あの子を悪者にしたのもわかってる
それでも辛いと思った
あの子を悪者にする自分が怖かった
だから死のうと思った
でも 死ねなくて
やっと中学生になれたのに
未練しかなかったのです 本当にごめんなさい
だから 償おうと考えた
自分の皮膚をなくなるまで刻めば
あの子を正当化できる気がして
こんな私が1日でも早く消えて
あの子が1日でも長く生きてほしかった
わたしが全部悪い
私を嬲って幸せになるならそれでよかった
お前が私のどんなとこが嫌いなのかも知ってるよ
だって私が一番私が嫌いなんだから
ごめんねって言えなかった
謝らなくちゃいけなくて
でも できなくて
また弱い私を殺したくなって 死にたくて
私を幸せの材料にしてたと思ってたのに
お前はなんで死にたがってる?
あーー苦しいなーーーーーほんと
生きるのってなんでこんなに難しいんだろう
明日が来なかったらいいのにって
ありがちな言葉が一番しっくり来るんだ
あの子が憎いです
私よりいろいろなものをもって
お金持ちの家に生まれて家族にも恵まれて
可愛い顔と高い声と綺麗な体型と
上手な嘘泣きと演技
私には何もないね
なんで、なんで、
苦しくて仕方ない 嫌いで仕方ない
でも嫌いって思っちゃいけない
いじめになっちゃうから
どうしたらいいのかわからない
私はあの子のサンドバッグで
でもあの子はまだ何も晴らして無いなんてそんなの
ずるいよ
じゃあ殺してくださいお願いします
もういいです苦しいだけです