僕の現在位置です
きょうの関東地方は強い北風。びゅうびゅう吹いてた。寒かったね。
久しぶりの平日仕事休みだったんで、車でCちゃんのお見舞いに出かけてきた。
病室に入ったら笑顔で迎えてくれた。「待ってた」って。
コンビニのやつで悪いけど、白いシュークリーム売ってたから買ってきたよ、と渡したら「わ、いま食べて良い?」と言うので、どーぞどーぞと。
セブン-イレブンにある、森永「白いダース」とコラボしたシュークリーム。みんな好きなのか売り切れてることも多い。僕も好きで食べてるから味わかってたし、彼女も喜ぶかなって。
Cちゃんは「これ、おいひーね」と言いながら、「ね、もいっこあったりしない⋯⋯?」と所望(おねだり?)してきたので、「そう言うと思って2個買ってきたよ。僕の分と合わせて3個だ」と返すと「えへへー」と笑う。
結局シュークリームを2個ペロリ。
学生時代から、変わってないなぁ。
僕もシュークリームを頬張りながら「節分のイベントは何かあった?」と訊いたら、彼女は少し曇った表情で話してくれた。
「特に何も。お寿司のような何かがお昼に出たけど、胡瓜と干瓢しか入ってなかった。玉子はたぶんアレルギー対策で使えないんだろうけど。ほんとこの病院って季節感なくて。世の中との隔たりがどんどん開いてく気がして」。
僕が精神科に入院してたころも似たような気持ちを抱えてたけど、外出外泊が許されてからは少しずつ薄らいでいった。
でもCちゃんは、誰かに聞くか見せてもらわなければ、院外の様子を知るすべがない。
実際、かなりきついと思うし、強いストレスを感じていることだろう。
だから僕がお見舞いに行けないときは、家の外とか車の中からビデオ通話することもある。
彼女はそれを見聞きして、自由に動ける他人を羨んだり、ベッドに縛られてる自分を卑下したりはしない。
「外の景色を見せられて気分が沈むことはない?」と訊いてみたけど、「そんなことないよ。僕の現在位置くんが見せてくれないと、私には何も分からないから。もっと見せてほしいな」って言ってた。
その日は面会の枠が40分あったけど、しばらく病室に顔出せてなかったこともあって積もる話もけっこうあったんで、あっという間に時間になっちゃった。
途中でCちゃんが面白いこと言ってさ。
「鬼(病棟職員)は外、福(ハッピーな事ぜんぶ)は内」を心の中で唱えたんだって。
そのくらい思っても罰は当たらないよね! って。
いいぞ、もっと言ってやれ。そうやってお互いに笑った。
別れ際に、Cちゃんが「また連絡してもいいかな」とポツリ、呟いた。
「もちろん。遠慮はナシ、だぞ」と応えると、やや間があって、「〈ありがとう〉と〈ごめんなさい〉の間に立つのって、こんなにも辛いんだね」と、嗚咽まじりに言った。
ハンカチで涙を拭いながら、「辛いこと、心配なことがあったらいつでも言いなね。夜中でもいいから。弁護士も付いてるし、助けてくれる人はちゃんといるんだよ。お父さんもお母さんも見てる。先の見えないトンネルじゃない、いつかここを抜けられるから。それまで、もうちょっとだけ頑張ろう」そう話した。
「僕の現在位置くん、昔から穏やかで優しいから寄り掛かっちゃう。甘えたら駄目だね。私の悪い癖。でも、もう少しだけ、お願いします」。
帰りの車で、ちょうど高速の 120 km/h 区間に差し掛かったとき、カーナビから古内東子の「IN LOVE AGAIN」が流れてきた。
ランダム選曲にしてたから何が掛かるかはナビ任せ、絶妙なタイミングだなぁと思わずにはいられなかった。
進路を塞ぐ眼前の大型車両を追い抜くのに、5速へシフトダウンしてターンシグナルを出しつつ、ステアリングをわずかに右へ切る。
スタッドレスタイヤを履いた BRZ は機敏な動きこそ見せなかったが、スバル伝統の安定方向に振った足がしなやかに路面を捉える。
その感触を確かめながら、Cちゃんの言葉がリフレインのように頭の中で響いていた。
〝〈ありがとう〉と〈ごめんなさい〉の間に立つのって、こんなにも辛いんだね〟
それは詩的な表現でもあり、彼女の“いま”をダイレクトに表した叫びのようにも思えた。
地頭のいい元・文学少女Cちゃんだからこそ成せる業、か⋯⋯。
♪IN LOVE AGAIN / 古内東子
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Cさんはキミとどういう関係を
求めてるんだろうねぇ〜……
友情か恋愛か……
本人のみぞ知るってやつかな〜
ボクだったら
キミみたいなことをされちゃうと
ホれそうになっちゃうけど……
(参考にならんよね)
聞いたら聞いたで
関係にヒビが入るかも知れないし
難しいねぇ〜……
ボクだったら
「♪もしかしてだけど~
もしかしてだけど~
それ〜ってオイラを
誘ってんじゃないの〜」って
冗談っぽく聞いちゃうけど
ムードも何もないな……
まあ、そもそもキミ自身が
恋愛を求めてなかったら意味ないか〜
うさぎさん、
おっしゃる通り、彼女は苦しいんだと思います。
それって半分、僕のせいなんじゃ⋯⋯?
そんな考えもよぎります。
「遠慮はナシ」というのは本心から言ってますが、もしそれが原因なのだとしたら。
僕はどう振る舞っていれば良かったんだろう。
一方で「シュークリームもう一個食べたい」とか、「手出して。目を瞑って」とか、そういう距離の近さも感じるので、そこは心配いらないのかなと。
僕にとって、Cちゃんからの「ごめんなさい」はちょっぴり悲しくなる言葉なんです。
彼女が本当に大切な友人だからこそ、“無償の愛”を以って接することができるし、笑顔を見たいなって。
僕は中・高・大とキリスト教の学校でしたから、博愛や隣人愛を大事にすることには重きを置いて生きているつもりです。
今回、Cちゃんが事故に遭って今に至るまでに、色んなことがありました。
病院側の態度は良くならないし、加害者からの連絡も途絶えています。
そんな今こそ、他者にとっての“添え木”のような存在でありたい――
その「他者」がCちゃんなのです。
彼女と僕が恋仲なのであればまた違った関係性でいられるのかもしれません。
男女の間に友情は成立しないと言う人もいます。
でも、親友である僕たちならではの居心地のよさがあるし、僕が辛かった時にCちゃんには随分と世話になりましたから。
今度は僕の番なんですよね、きっと。
ありがとうございます、うさぎさん。
僕の現在位置より
Feb 21, 2025 at 6:56 am
つきまちうさぎ🌕️🐇
Cちゃん、ありがたさと、遠慮して 申し訳ないなぁ って気持ちが、きっと 混在してて 苦しいのでしょうね……
誰しも、1人の力だけでは 生きていけませんが、どこかで 頼ることに 抵抗感があったりもしますものね。
でも、そんな Cちゃんに いつも優しくしてくれる 僕の現在位置さんの存在は、彼女さんにとって とても大きく、大切なものと思われます…。
(そして、僕の現在位置さんにとっても。)
いろいろと大変な日々は、もう少し 続くのだと思われますが…
どうか 2人で力を合わせ、一歩ずつ 乗り越えてゆけますように。
💐🐇
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