中学の卒業式のお話と、今のこと。
公立の、極々普通の中学校だった。ヤンキーからガリ勉、不登校にヲタクもいて、私はオールマイティに色々な人と付き合って、結構有名な存在になったりして、かなり楽しい毎日を過ごした。
卒業式、大好きだった先生から、生徒代表の答辞を任された。先生は、私には文章のセンスがある、と評価してくれて(こんな拙い文ですが、感情が出ていて美しいと言ってくださいました)、一年の頃から色々な賞に応募させてくれた。最優秀賞は数え切れないくらいとったし、賞金をもらった事もある。何よりも、全てが億劫だった私に、自信を持たせてくれた。
答辞は勿論自分で文章の構造を考えねばならない訳で、その先生と二人で、放課後残って書いていた。先生はとっても怖いおじいちゃんだと学校内では有名だったけれど、義理と人情を持っている素敵な人だった、と私は思う。執筆している時も、機嫌がいいんだか悪いんだかわからない無愛想な顔で私の文字を追っては、「ここの字がちげーよ」「こんな感情の表し方はねーだろ」と怒鳴っていたけれど、本気のキレ方じゃないって、私もわかっていたから。原稿用紙5枚分は思ったよりもすぐに埋まって、最終的には先生も満足していた。
先生は、私の読文も気に入ってくれていた、らしい。「人の心を揺り動かす声と独特な雰囲気」と他の先生方におっしゃっていたそうな。
リハーサルが終わって、一旦用紙を返せと言われて、そのまま卒業式当日。朝に返してもらった答辞の用紙は、綺麗な封筒に入れてあった。「本番まで開けるなよ」と言われた。
全校生徒と保護者のいる中、答辞の出番。一人で壇上に上がって、リハーサル通りにお辞儀して、皆に背を向けて校長の前に立って、封筒から用紙を取り出した。
長い長いその紙を広げると、あれ、リハーサルの時には確かに書いてなかった、所々に引いてある青い線と、青い文字。
先生の字だった。
「ここは力強く!」「まだまだ序盤だぞ」「怖気着くなよ、かっこいいぞ」「ここ、すごい良い文章書いてる」「もう少し!がんばれ!」
私が「先生が大好きです」と書いてあったところには、赤で線が引いてあった。「ありがとう」の一言も添えて。
私は卒業式、とかそういう行事類での感涙はそれまで一切無かったのだけれど、これにはやはり、ぐ、と来た。でもみんなの前で泣いたらかっこ悪いし、目の前にあった校長のハゲ頭を睨んで一生懸命涙を堪えた。それでも、最後の大きな花丸と、「今までありがとう、お疲れ様でした」の必殺攻撃には耐えられなくて、読み終わった直後に、一つだけ、雫が零れ落ちた。
そして湧いた拍手喝采。背中から「そんな文章じゃ泣けねーよ!」「もっと泣かせろよー!」という同級生の声が聞こえて、振り向くと、嗚呼、もう、みんなぼろぼろ色々な汁を零していて。汚いなぁ、私は満面の笑顔で、みんなにVサインを送った。
私は今、高校が辛い。皆自分勝手で陰口ばっか口に出してさ、面白い話も出来ないし、夢なんか語り合ってる暇ない!勉強勉強!と言ってる癖に頭悪いし。馴れ合いで「私たちまじ親友だよね!」って、笑えちゃう関係。自称進学校な高校自体も悪いけれど、私はこの場所が大嫌いだ。
だから、中学の友人としか遊んでない。素を見せられる子達。私が辛い時、学校をサボってまで駆けつけてくれる、そんな友人。高校ではだから、「ぼっち」と言われて笑われている。でもきっと、それでいい。私の世界は、私の好きな人達だけで固めていたいもの。逆に高校の奴らは、中学の友人がほとんどいない(すごい不思議だ。Twitterのフォローも全員高校の子だし、LINEのタイムラインに押してあるスタンプも全て高校での友人のもの)っぽいし。私も結構惨めだけれど、あの子たちも同等くらいだね。
明日も頑張って学校行って、帰りにまた、私の好きな、中学時代の子達と、肉まんでも食いながら話すんだ。そんな毎日が、なんとなく心地いい。先生にも、また会いに行きたいなぁ、いや、会いに行こう。
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ななしさん
学校という意味での、高校生活という視点でみると、
舌打ちの一つでもしたくなるのかもしれませんが、
引きで見ると、ギュッと中身のある10代を送っているように思え、
私は正直、とってもうらやましいです。
(現在も込みで)
明日もきっと、いいこといっぱいある人、見つけられる人
なんだろうな〜
まいたん
ななしさん
すてきなお話、ありがとう。
あなたが高校でも同じようにすてきな仲間に出会えますように。
ななしさん
多分今の高校の「友人」たちは毎年替わりますよ。
ななしさん
もしかして35769通目の小瓶主さんでしょうか??(ちがっていたらすみません(;_;))
本当に素敵な人たちに囲まれていたんですね(^^)
基本中学まではエスカレーター式ですから、合わない人が多く、高校で気の合う友だちに出会う人も多いみたいです。
でも、小瓶主さんみたいに、中学の頃の友だちを大切にしている人、自分の居場所を見つけてる人は、とても素敵です。私も小瓶主さんを見習って、大切な人を大切にして、生きていきたいと思います(^^)
素敵な小瓶をありがとうございました。
ななしさん
存在しないものとして扱う。
罵倒してきてもひたすら無視。
ななしさん
分かるなぁ…中学時代が心の故郷って感じ。
でもさ、心の故郷に逃げ帰ってばかりじゃダメ。
故郷は遠きにありて想うもの。
ちゃんと前向いて歩いてほしいな。
社会人になったら先生に会いに行こうよ。
今はまだ余計な心配を先生にさせるだけ。
辛いだろうけど歯をくいしばれ。
追伸、
ホント文章が上手だと思いました。
貴方の人間性が表れてます。
優しい子なんですね。
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