手が大きいから今年も手が冷たい。
メンズの手袋を使うのは気が退けるし、手が冷たいうちは思ってても許される気がしてそのまま風に曝してる。
今日も寒かった。
ピアノが似合う綺麗な指だって昔からよく褒められた、嬉しかった。
でもあの人が大きいって言ったから、初めて自分の手が異様に大きいことに気付いてしまった。
またコンプレックスが増えた。
別れてからなにかと左手を見てため息をついている。
もうそこにあの人の小さな手はないけど。
たまに自分の手の大きさに驚く。
こんなに大きくても何も掴めやしないのに。
周りの女の子は小さな手に小さな足で、みんな可愛い靴を履いてて羨ましい。
シンデレラになるには私の足は大きすぎる。
好きな人を見上げて笑ってるのがものすごく羨ましい。
会いたいなあ~と思ってみるけど、住んでる場所も知らなければ最早絶縁状態なのに会えるわけがない。
私が好きなのは記憶の中のあの人であって、今の彼のことは何も知らないのかもしれない。
忘れられないのか、忘れたくないのか分からない。
忘れた方が幸せなんだろうなとは思う。
会いたいなあって思ってるけど、会ったところで目も合わせられないんだろうなあーとも思ってる。
会っても分からないかもしれない。
結局私はどうしたいのか私が一番よく分かってない。
「涙が悲しみを溶かして溢れるものだとしたらその雫ももう一度飲み干してしまいたい」
そんな感じ。
今日も好きだ。
多分明日も好き。
最早誰のことが好きなのかも怪しいけど。
大切にされたあの頃の自分が好きなのかも知れない、今辛いから。
顔も合わせないで声も聞かせないで告げられたくなかった。
メール一本で済む存在にしたのは幼かった自身だとしても、いっそ首でも絞めてくれればよかったのに。
手なんか大きくても溢してしまったら一緒なのに。
人の気持ちも将来の夢も何一つまともに掴めないなら、普通の女の子みたいな小さくて脆い手でよかった。