「彼氏になってよ」と言われた。
先日、高校の時に片想いをしていた友人にだ。
高校在学中、同性の友人に意味不明な想いを抱いてしまっている自分が気持ち悪くて、訳が分からなくなって随分悩んだ。片想いだったんだと自覚出来たのは高校を卒業してからで、気持ちに名前を付けて過去形にすることで思い出として処理した気分になっていた。
大学は別々になったけれど、友人という関係のままで、よく遊びに出かけた。下手に考えようとしなかったという方が正しい気もする。
最近その友人からやっかいごとの相談を受けるということがあった。とにかく心配だったし、何か出来ればと思った。解決できたかは分からないけれど、終わり頃にはいつも通りの明るさに戻っていた。
そして帰り際に言われたのが、「彼氏になってよ」という一言だった。真剣な口調ではない、本当に冗談の、軽いノリの言葉だ。私が少し男みたいな仕草をして、彼女はそれに乗る形の。
そんな冗談みたいな一言が、飛び上がりたくなるほど嬉しかった。過去の私の葛藤は、全部無駄じゃなかったんだと、言われているような気がした。
「彼氏役するには、身長が足りない」と返してやった。思いつく限りの全力の冗談で、彼女もそれに笑ってくれた。
その笑顔を見て、片想いは終わったんだと思えた。
片想いだと気づいて実らせる気もなく、けれど捨てきれずに燻ってた私がいたことに気づけて、名前をつけてから何年も引きずった感情にやっとここでけじめが付いた一日だった。
彼女の相談を聞きに来たはずなのに、自分が救われてるなんて少し情けない。
高校の頃の私に良かったなと言ってやりたい。同性に意味不明な感情を持ってたことも、恋愛対象が異性ではないのかもしれないと思ったことも、それにまつわる多くの悩みも、ほとんどは解決しないままだったけれど、辛い思いをした分の良い未来があったぞと。
「お前の悩みはちゃんと報われる形になったぞ」と。
片思いが実るハッピーエンドでも、実らないバッドエンドでもない、どちらでもないけれどはっきりと決別の出来たエンドだった。また悩む時が来ても大丈夫だと、そんなお墨付きまでもらえるような。
現在の自分には、異性の恋人がいる。
結局自分がどちら側なのかは分からないけれど、壁にぶつかっても、きちんと向き合って悩んでいけばいいんだと思っている。
整理の為に書いた文章で、まとまりのない文章となってしまいました。ここまでお読み頂き、ありがとうございます。