もう一年以上前の話になります
前の職場の契約期間が切れたので、三ヶ月間の猶予期間ができました
私はハロワ経由の職業訓練を考えていたんですが、親が勝手に教習所のパンフを貰って来て「土曜日からだから今日までに振込みね」とトントン拍子に話が進み、最初は乗り気じゃなくても必要になるだろうと行くことに決めたのですが…
私はもともと乗り物や機械自体に興味が一切なく、人からトロいと称される人間です
そんな人間が親がATじゃ面白くないからMTにしといたわ、の意味も分からずに受けたのが間違いだったんです
家には車がなく、窓の開け方も知らなくても期間中に教えてあげるの言葉を信じて教官に質問すれば
「そんなことも知らずに此処に来たわけ?」「運転中に教科書なんて開かないんだから知ってるこちが常識でしょ」と呆れられ、なんの説明もなく運転させれば溝に嵌り泥だらけ
教官は無言で泥を流すだけで何も言わずに立ち去ってしまいました
その後も「100時間延長しても無理だった人を知っている」「人にはできることとできないことってハッキリしているんだよ」「無駄な努力って付き合うほうも大変なんだよ」
それでも学科全てと実技のテストを残すところまで踏ん張っていたんですが…私は結局、教習所を辞めました
「君、いつか人を殺すよ」
それが僕だったら嫌だなぁ~って笑っていたので、私を焚きつけるための言葉だったんでしょう
でも、その日の夕方、私に同級生の訃報が届きました
理由は飲酒運転をしていた車が道を歩いていた同級生に突っ込んできたからです
私は体質上、お酒は飲めません
同級生もある事情で飲酒を控えていました
私に運転の才能がないのも、やる気の問題なのも分かっています
でも、教官があの時私にあのタイミングであの言葉を言わなければ、その後、同級生が飲酒運転をする人間に殺されなければ
私はもう少し、車を好きになれたんでしょうか?
いまだに車が怖くて仕方がない人間の戯言でした
名前のない小瓶
43628通目の宛名のないメール
お返事が届いています
ななしさん
(小瓶主)
【小瓶主さんからお返事きたよ】
皆さん、読んでくださりありがとうございます
私の長い手紙の続きを読んでくださり、そしてお返事を流してくださった方がいらっしゃったこと、本当に嬉しく思います
なかなか、お礼ができなくて心苦しかったのですが、やっと小瓶が用意できたので流します
後出し情報だったので、こちらこそ誤解を招いてしまってすみません
でも、こういうこともあったと、誰かに聞いてもらいたかったんです
お付き合いくださっただけでなく、覚えていてくださると言っていただけて嬉しかったです
私は結局、路上訓練は受けていませんが、マナーの悪い歩行者が多い事実も理解しています
バスターミナルを横断する方を見るとハラハラしますし、目と鼻の先に横断歩道があるのに、二車線の道路で保育園児達に手を挙げさせて横断させる保育士の方を見たこともあります
平気な顔で道路を横断する人、信号無視など…同じ歩行者側から見ても唖然とするような行動も多いです
それらが問題視されないのは、ぶつかった時の危険性の問題でしょうが、どちらにしてもマナーの悪い人たちのせいで、迷惑を被るのは安全確認を怠っていないハズの方々なのは悲しいことですよね…
あと、おっしゃる通り私の親が強引で、私の考え方が甘かったのは認めます
1番初めの小瓶内の手紙に書いたように、私はその時求職活動を視野に入れなくてはならない身分(雇用保険をいただける期間)で、運転免許の有無では職種の幅に差が出ると言う打算、どれだけ下手でも半年以上の練習期間があり、若年者なら延長料金が無料で、取るなら今かな?という考えがありました
なのでMT部分以外は私自身で選んだことです
2番目の小瓶に書いたように、住基カードの弱点もありましたし…
逆に親には私に押しつけてしまった、という思いをさせてしまったことを申し訳なく思っています
あと、よく考えてみれば、教官に対して怒るって発想がなかったですね
あの時はお金を出しているとはいえ、私は教官に教えを請う身分という考え方でしたし、私自身、教官に怒りを抱くとか、そういう気持ちを抱くどころではないほど必死でしたから…
それに、あの言葉の後、その日に友人の死が重なったのが原因みたいなものですから…
友人も他の教習所に通っていたんですが、彼女はとても器用で褒めてもらってばかりだったそうで、結局、彼女には一度も教官自身については相談できなかったですね
私はまだ車が怖いです
昨日も結局、車が見えなくなるまで横断歩道が渡れませんでしたし…
でも、寒くて足が痛むことが多いから思い出すのであって、春になればまた一からやり直せると考えています
そのために、リハビリも頑張りますよ
カラスの譬えは素敵ですね
私、カラス大好きですよ
烏の濡れ羽色とか、綺麗な色の名前に使われる生き物ですし、大きめの鳥なのにピョンピョン地面を跳んだと思ったら大股に一生懸命に歩くところとか可愛いです
だから嬉しかったんですけど、大好きだからこそ、カラスみたいにすごい鳥と同じだなんて言われると照れてしまいます
今も電柱のところにいますけど、夕焼け空の背景に黒が映えてカッコいいです
歩く姿のカラスもじっと佇むカラスも好きですが、やっぱり大空を飛ぶ真っ黒なカラスが一番素敵ですよね…
私もカラスみたいに飛びたいですね
皆さんのような素敵な先輩ドライバーさんに応援してもらえたのなら、飛ぶまで諦めちゃだめですよね
ありがとうございます
ななしさん
返事4通目の主です。
まず小瓶主さんには謝らなければなりません。小瓶主さんの辛い過去や気持ちを深く察することできず「もう一度教習所に通い免許をとってほしい」と軽薄な言動をしてしまったこと、許してください。ごめんなさい。
小瓶主さんの立場からすれば、もう車は乗りたくも見たくもない、この世から車なんてなくなってしまえ!て思うと思います。
こんだけ身勝手な運転手のせいで小瓶主さんの人生に傷痕をもってしまってまでも小瓶主さんは車と向き合おうとしてますよね。
すごく素敵、いや素晴らしい?もう言葉にできないほどの素晴らしいくらいの強さだなって思います。ほんと尊敬します。私なら向き合える強さはありません。
まるで小瓶主さんは羽根を傷めてまでも飛ぶことを諦めないカラスです。
悪い意味ではないですよ、カラスは私のすごく尊敬する生き物です。
カラスは賢いし、仲間にイジメられても羽根をむしられても上手に飛ぶんです。
その負けない心の強さといったら真似できませんよね。でも小瓶主さんにはその強さがある。
もし小瓶主さんが車の免許を諦めてないなら絶対とれるよ。小瓶主さんなら絶対。
だって私よりも根性も強さ、思いやりあります。
そして断言します、絶対いいドライバーになる。
車はいかなる時でも歩行者を安全に保護しなければなりません。
横断歩道であるだろうが、なかろうが車に乗る以上、歩行者を安全に保護するそれが決まりです。
もし歩行者をはねてしまっても、それなりの対処と責任を負い、償いをしなければなりません。
小瓶主さんに関しては横断歩道を渡っていたうえに、運転手が逃げるなんて同じドライバーとして、人間として恥ずべき行為だと思っております。腹立たしいかぎりです。
小瓶主さんは路上を出たことがないようですが、出てみてわかることもあります。良いことも悪いことも。
私にとって悪いことは車に乗る以上、人を殺す凶器と隣あわせだなって思いました。それは自転車も歩行者も思いやりなしで交通法規無視のめちゃくちゃな行為をしてることが原因でもあります。
だから自分の立場が逆転し、歩行者や自転車になったときは車はどんなときが弱点や危険なのかを考えてあげてあげれば少しは事故にならないかな、迷惑にならないかなとは思っています。
車に乗って初めて見える、わかる世界もあります。
良いことは前の返事にも書いたように譲ってくれる心優しいドライバーに出会ったり、ウィンカーやクラクションでお礼をもらったり、他のドライバーさんと意志疎通したときです。
あとは歩行者もいない、自転車もいない、最高速度60キロ一直線道路を走るときが好きです。トップギアまでいれるギアを順番にあげていく感じ。車のギアチェンジしてくださいのサイン音。
車と意志疎通したかのような錯覚になるときです。
ここにきてですが、もう一度いいますね。小瓶主さんなら素敵な心優しいドライバーになると思います。だから小瓶主さんが諦めてないのなら絶対免許とれます。大丈夫。
向き合える強さ忘れないで。
無理せず怪我なおしてください。
小瓶主さんにとって車と楽しく意志疎通できる日があらんことを。
冬
免許を持っていますが、主さんの話をもう一度運転する時に肝に銘じようと思いました。お話して下さって本当にありがとう。
ななしさん
(小瓶主)
【小瓶主さんからお返事きたよ】
皆さん、読んでくださりありがとうございます
自分の気持ちの整理のために流した小瓶でしたが、拾って読んでくださった方がいたこと、そしてお返事を流してくださったことがとても嬉しかったです
今まで友人や親にも言えませんでした
不幸が重なったこと、ただ車と合わなかったことが理由だと、誰も私を責めませんでした
教習所の近くに行くことすら一時期はダメになった私のために、車関係の話が一部タブーになるくらい、気を使ってくれました
だから、こうやって自分の気持ちを話したことが一度もなかったので、なんだかスッキリしました
私が教習所に通うことになったのは親の意見でしたが、選んだのは私です
住基カードだけだと、写真付きでも手続き時に他の証明書の提示を求められることが多いから…
それだけの理由ですが、免許証の必要性はあったんですよね
話が変わってしまって申し訳がないのですが、この小瓶を流した理由はほかにもあります
もしお時間があれば、もう少しだけ読んでくださると嬉しいです
私は今年の8月に骨折をしました
骨折した時の状況は、信号のない横断歩道を歩いているときに、ウインカーを出さずに右折してきた車に轢かれそうになり、慌てて前に避けたことで右足を思い切りコンクリートに叩きつけてしまったからです
その車は一度止まってこちらを見ましたが、運転手の男性も、助手席の女性も何も言わずに走り去ってしまいました
その痛みを骨折と気付けなかった私は、とにかくまた車が来るのが怖くて足を引きずり横断歩道を渡り切り、目の前の駅で倒れこんでしまいました
幸い、親切な方々が救急車を呼んでくださり、駅員さんや偶然その場にいたお医者様などのおかげで適切な処置を受けることができ、今では多少痛みはありますが歩けるようになりました
病院のお医者様やスタッフの方々も本当に親身で、あの一連の出来事ほど人の優しさに触れたことはなかったです
…ただ、車を運転していた人たちは見付かっていません
私は仮免前の学科はすべて受けていました
信号がなくても、横断歩道を歩いている歩行者の通行を妨げてはいけないはずです
5年前にも私の祖母が信号のある横断歩道で私と同じようにウインカーを出さずに左折してきた車に轢かれて全治4カ月の骨折で手術をしました
皮肉なことに、私と同じ右足です
その時の運転手さんは携帯で電話をしながら運転をしていたそうで、注意力が散漫になっていたのだと言っていました
しかし、その人も目撃者の人が呼び止めるまで車を止めなかったそうです
5年前、私は祖母の事故をきっかけに、道路を渡るときの確認を慎重にするようになりました
去年の4月、私は車のスピード感が死ぬほど怖くなりました
その後、教官からの言葉と友人の訃報で車も教習所も怖くなりました
そして今年の8月、左目で確認していたライトが光っていない車が急に曲がり迫ってきた時…なにも考えられなかったです
今は信号がない横断歩道では車が視界にある時は渡れません
でも、皆さんのお返事を読んでいて…
いつか車が怖くなくなったら、もう一度、教習所に通って運転免許を取れたらいいな、と思いました
私は教習所内でしか運転をしたことがないので、歩行者側の意見しか持っていません
なので、私の意見はあくまで一方的なものです
足のこともありますし、教習所にすら通えるのかも分かりませんが…
亡くなった友人も、私と教習所に通っていましたし、時間がかかっても、もう一度考えてみるべきですよね
ありがとうございます
ななしさん
つい最近、私は教習所を無事卒業し、残すところは本試験の筆記のみと状況となっています。少し何かの縁だと感じ返事を書かせてもらっています。
ついこの間まで私も何度も心をへし折られました。
小瓶主さんのように技能初日でコテンパンにやられました。
脱輪、乗り上げ、突っ込みまくりの三拍子。
私もマニュアルなのですが、マニュアルを選んだのが原因か、遊びで軽く運転したことある、それなりの知識があってきてる、みたいな言い方される教官が多かったです。
中には下手すぎて「オートマにしなさい」て言われたこともありました。
それに教本読んで予習復習していっても「予習してないね」「内容を復習してない」て何人かに言われて勉強してもできないんだから、むいてないんだろうな、て悔しい思いもしました。
でも中には「大丈夫、マニュアルの才能あるからこのまま続ければいい」と言ってもらい心救われ頑張って続けることができました。
通ってわかったんですけど、教官によります。ほんと合わない教官は合いません。
教官からすれば、なぜこいつわからない?できない?てイライラするとは思いますが、結局、運転できる適合力が高い人には運転合わないタイプの人の考え方とあまり合わない、一致しにくい。
合う教官に当たれば、自分の思ってる操作手順?と言いますか、ぴったしガチコーンてはまる教え方をしてくれます。
あと、仮免技能試験、卒業技能試験の担当する教官は的確な問題点をハッキリ伝えてくれたり、ぼそっと助言をくれたり、「おちついて、焦らなくていいから」と言ってくれたりといい教官ばかりでした。
普通時の技能の教官とは大違い。中にはいい教官もいますが一握り程度です。
確かに運転にも合う、合わないてあると思います。私も合わないタイプでした。
絶叫マシーンが苦手なんですが、もうそれに乗ってる感覚でした。
何が楽しくて嫌いな絶叫マシーンを自分で運転しなきゃならんのだ。なんて思ってました。
でもマニュアル特有の半クラやギア入れるときの感覚が好きだなて思えるときがあるんです。
うまく半クラ使いこなせたときとか。
加速したらギアチェンジして!て言うようにエンジン音が変わるときとか。
ギア下げたらエンジンブレーキがかかるときとか。
「なんだ、こいつ私の操作通り動いてくれてるじゃねーか」て。
あと路上でモタモタしてる私に譲ってくれる心優しい運転手さんとかに出会ったら運転するのも悪くないのかもしれないて思えるんですよね。
将来、私も運転うまくなって困ってる車いたら譲ってあげるんだ!なんて思っています。そのまえに本試験合格めざなきゃですが(笑)
車は悪くないのですよ。
車は運転手に左右されます。
運転手が誤った使い方をすれば車は凶器となる。正しい使い方をすれば車は素敵なものとなる。
車運転してみてわかったのですが、世の中、車だけじゃなく原付も自転車も歩行者も、めちゃくちゃです。ほんと。自分勝手すぎる。
教習所通う前に何気なくしてた行動は良くない、運転手に迷惑をかける行為だなて反省しましたね。
合わないタイプでも車は運転できると思います。正しい使い方と心優しい気持ちがあれば大丈夫。
勝手ながら私は是非とも小瓶主さんにもう一度教習所に通って車の免許をとってほしいなと思いました。
少なくとも車を怖くないと思うことが小瓶主さんに訪れるときがあらんことを。
ななしさん
なにその教官、苦情入れていいレベル
クビになればいいのに
ななしさん
理由の深刻さは、関係ありません。
どんな理由であれ、やる気になれないのなら、辞めた方が賢明です。
あなたの言う通り、車は非常に危険な物です。
物にぶつかれば、物を壊します。
人にぶつかれば、人を殺します。
でも、車は、あくまで物でしかありません。
あなたの友人を引き殺してしまった加害者は、刑務所の中でずっとずっと後悔するでしょう。
「飲酒運転なんかしなければ良かった」と。
加害者は「車」ではなく、「酒を飲んで運転した自分」を責めるのです。
例えば、包丁で考えてみて下さい。
優しいお母さんが持てば、あたたかい手料理を作る道具になります。
すばらしい料理人が持てば、高級レストランのメインディッシュを作る道具になります。
まだ不器用な子供が持てば、指を切ってしまうかもしれない危ない道具になります。
でも悪い人が持てば、誰かが刺されて死ぬかもしれません。
包丁が勝手に動くのではありません。
持った人によって、包丁は便利な道具にも、危険な凶器にもなり得るのです。
車も同じです。
免許をとりたくない人には、あなたのように「車が怖い」「機械に弱い」人から、「教習所が面倒くさい」なんて人もいるでしょう。
どんな理由であれ、やる気になれないなら、辞めておくべきと思います。
怖くてうまく操作できない人も、面倒くさくて勉強する気になれない人も、車を凶器にする人です。
そういう人に運転をさせない為に、教習所があり、試験があります。
それでも事故は起こります。交通安全協会の発表では、26年度は約4000人が亡くなりました。被害者本人だけでなく加害者、その家族や友人や恋人の事を考えてみれば、交通事故で不幸になった人の人数は死亡者数の10倍、100倍を超えるでしょう。
これを知って、「自分は慎重に運転しよう」と思うか、「自分はやめておこう」と思うかは人それぞれです。
どちらも間違った考えではありません。
一番いけないのは、「自分には関係ない」と思い込むことです。
事故を起こすのが自分だという意識がないから。
とはいえ、免許は無いよりはあった方が便利ではあります。別に運送の仕事でなくても、採用条件に「免許所持」がある会社もあります。就活に有利なことがあるのです。親御さんが話を持ってきたのもそれが理由でしょう。勝手にMTにしたのはいただけませんが。
だから小瓶主様でも、いつか免許が必要になる時が来るかもしれません。
その時にもう1度、考えてみればいいんじゃないでしょうか。
名前のない小瓶
MTは難しいよ...(p_-)
だって両手両足全部同時に違う動きするんだもん。
私も何故MT免許取れたのか未だにわかりません。
ちなみにもう乗れません。
でもその教習所の指導員は最低です。
給料泥棒、金払ってる客への対応とは到底思えませんね。
友達でもMTは難しいから、ATにすれば?と奨められた話は聞いたことありますが、そんな全否定は聞いたことないし
そもそも生徒が運転できないようなの、お前のせいじゃん!って感じですね。
ななしさん
少し遅くなりましたが、あなたの問題は、あなたの親との対応、そして、教官との対応だと思いますよ。
まず、親の勝手な行動を受け入れない。もっと、自分の意思を持ってください。
嫌なら嫌と言うこと。
教官にもそんなこと言われる筋合いははないんですよ。
ふざけんな!です。
もっと、怒っていいんですよ。
お金出してるお客なんだから。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。