幼稚園の頃から大好きな、二つ上の同性の先輩。親友というよりももう家族に近くて、取り替えなんか出来ない大切な存在。でも、本当に好きになってしまっていたみたいだと気づいたのは、出会ってから10年以上経った今日のことだった。
いつの間にか出会って、いつの間にか仲良くなって。毎年のクリスマスも大晦日も、家族ぐるみで一緒にいるような、自他共に認める「仲良し」になった。先輩は内気で大人しくて、命令されると従わない一匹狼。私はどっちかっていうとフレンドリー、パリピ寄り(らしい)、でも上の者には従順。2人、欠けた部分を相互に埋めてきた。誰よりも貴方の素を知っているだろうし、貴方も私を誰よりも理解してくれていると、思い、たい。
そんな先輩に好きな人ができた。同じサークルの主将さんらしい。クールで捻くれた姿勢を誰の前でも崩さない先輩だけれど、信頼を築いた私と一緒にいる時だけ見せる乙女な姿は、とってもとっても可愛くて。勿論その恋は応援したし、なんだかぶっちゃけ先輩も飽き性なとこあるから、いつも通り進展ナシで終わるだろうな、なんて楽観的に思っていた節もあった。
そしたら今日、先輩がスクショして送ってきたLINEのトーク、いきなり主将からデートのお誘いだなんて、そんな。
おめでとう、やばい、これはわんちゃんあるで。なんて興奮気味に返したけれど、私の心は酷く痛んで、なんだか、苦しかった。そりゃ確かに先輩は綺麗だし、頭もいいしスタイルも良いし運動もできる。今まで彼氏がいなかったのが不思議なくらいだ。そんな事わかりきっているのに、喜ばしいと思わなければいけないはずなのに、私は悔しい。先輩だけ上手くいってずるい、とかの嫉妬ではない。これは焦りだ。先輩が盗られちゃうかもしれない事に対しての焦り。今まで一心同体もいいとこだったのに、ふいといなくなってしまうとしたら?という恐怖。先輩の最優先は私だったのに。一番近いのは紛れもなく私だったのに!
言えるはずなんかなくて、ただただおめでとうよかったねを繰り返す。先輩は大学生、私は高校生、会う事が少なくなったのがせめてもの救いだ。初めてのデートで舞い上がっている彼女を一目見た瞬間、泣いてしまいそうな気がするから。恋愛感情よりも大きな「好き」に押し潰されそうになるから。あーどうしよう。つらい。かなりつらい。
しにた。