母ちゃんよ
そんなに私が憎いのか。兄をどんなに可愛いがったか、弟をどんなに一生懸命育てたか、私に話してどうしたい?
お前には本も読んでやったこともないと。
仕事と忙しかったのは分かる。
でも、私達兄弟を分け隔てなく育ててくれたじいちゃんばあちゃんを悪く言わないで。
障害のある弟とじっくり向かい合いたかったからと、別暮らしをしていた五年間だって、毎週末、長い休みはいつもじいちゃんばあちゃん家に行って、面倒見てもらい、同居に戻ってからも、それからずっと、、日頃の世話はじいちゃんばあちゃんだった。
今私は四十近くになった。
じいちゃんばあちゃん好きではだめか?
じいちゃんが亡くなって、父ちゃんも亡くなって、ばあちゃんは老人ホームに入った。
父ちゃんが亡くなったのはばあちゃんのせいになった。
病気なのに。
弟の障害もばあちゃんのせいだって。
わたしはいつも罵られる。
結びの言葉はいつもお前は婆さんそっくりだ!
わたしを悪くいうのはいい。
でもそこにいないばあちゃんを悪く言わないで。
そんな風に言われれば言われるほど、わたしは母ちゃんが嫌いになるだけだ。
いつの間にか、父ちゃん一族が母ちゃんの憎しみの対象になった。
わたしはそのもっともたる存在。
自分の一族は素晴らしいらしい。
父ちゃん死ぬときまで見舞いにも来なかったのに。
お葬式の時だけ親戚っぽくしただけ。
年取ったら、あなたに優しくできるか、介護できるか、わからない。
あなたはわたしが面倒見て当たり前で、老後も心配してないようだけど。
ばあちゃんには老人ホームに会いにもいかない。
たまに家に帰ってきても不機嫌になって、わたしに当たる。
私が面会にいくのも嫌がる。
わたし、同じようにしかできそうにないから。