昔書きかけた詩に、ようやく続きが書けました。
冷たい鏡を叩き割って
古いフィルムを剥がしとって
薄膜の毛布を脱いでみる
忘れたくない
物語の続き
まだ描けないのなら
心に仕舞っておく
降りしきる雨は
やがて虹を残し
あの海を渡り
宛名のない手紙を届けるだろう
覚めない夢の中で
騙されながら生き延びていく
昨日がもう来ないって
今日は針の何周かの間って
明日も多分あるって知ってる
握りこぶしよりも
てのひらを広げ
季節外れの雪を
包めるように
数字で書けないことが
身近には溢れている
不思議じゃないことなんて
この世に一つもありはしない
冷めない夢の中で
名前も知らない君を探す
透明な電車が行き交う中で
いらだちの踏切を待つ
覚めない夢を
冷めない夢を
持っていたいんだ
いつから始まるかなんて
誰も教えてくれないから
ある日突然気付いたときに
全ての夢がお終いになって
あのかっこいいヒーローも
いつかのときめいたロマンスも
全部嘘だったと知るのかな
そして
それでも構わない
人生は素晴らしいんだと
笑って言えるだろうか
いつか道を阻んだ電車に乗り
新しい場所を探しに行こう
思い出を空へ手放すと
懐かしい写真が風に舞い
旅の行く末を祝福しているようで
あの時仕舞った物語を
まだ諦めてないから
いつか君に聞かせたいな