縁は異なもの味なもの。
むかしからそういうけれど、こんな出逢いがあるなんて。
すごくおどろいて、とってもうれしかったお話です。
気もちの波が激しい私。
沈みかけて、たくさんたくさん音楽をただ、聴いていた夜があったの。
立ちあがってCDを選ぶ、ちからがなくって。
携帯をひらいて、あの曲からその曲、ネットの世界をさまよっていきました。
たまたま辿りついたのは、歌声や楽器の演奏を投稿するサイト。へえ、こういうところがあるんだ。
でもコンディションがコンディション、正直あんまりこころに届かないなぁ、失礼だよなぁって。すきな曲を歌っているひとが目に留まったので、これだけ聴いて眠ろうとしてみよう、ぐったりとそう思って再生ボタンを押しました。
だいすきな前奏のメロディ
に続いて声が。
鳥肌が立つようなうまさ、ではなかった。音質がわるいし、リズムが頼りない。声に強い特徴があるわけでも、ない。
だけれど。
音量を上げた。耳をすませた。
終わるとすぐに、ほかの曲もかけた。
なんだろうこの声は。
よく聴くと、優しくて、すごく丁寧に歌われた高音の 掠れ具合も素敵。
歌詞を大事にしている感じ。
そうして何故か、どんなうたを歌っても、どこか切ない、哀しい。プロフィールには同い年、16歳と書かれていて驚き。
*えーと、話の都合上 そのひとのお名前をAさんとしましょうかね。
それ以来、何度も何度も聴いていました。何回きいてもまた聴きたくなってしまう。ふしぎ。
これがずいぶん前、夏のはじめ。
どうにかこうにか学校通い、いろんなひとと出逢いました。おもいがけず仲良くなったり。
時は流れて冬のまんなか。
私は、あるとんでもない仮説にじぶんで、どぎまぎしていました。
まさかね。
そんなこと流石に起こらないでしょう、夢みすぎ。
だけど、やっぱり…
春休みも目前。とうとう私は、ひとりの友だちに、問いかけました。
あなたは、○○(先ほどあげたサイト名)でうたっている、Aさん ですか。
まさかそんなことないでしょう、そう思っていたけど。
男のこにしてはすこし高い、よく通る彼の声。
彼が所属する文芸部で使っているペンネーム、A。
なにより、合唱コンクールのとき聴いた、思いのほか優しい彼の歌声。
もちろん、言わないでおこうかと、うんと迷いました。
違ったら適当に流せばいい。
だけど当たっていたとしても、気まずくなるかもしれない。単純に怖いだろうし。すごくわかってくれる大切な友だちだから、余計に悩み。
じゃあなんで言ったのかと言いますと。
ありがとうって、伝えたかったら。
私にはクラスとかそういう環境が変わっても続く友だち、っていうものがイメージできなかった。
それはおかしいかもしれない、違うのかもしれない。
だけど私にはわからないから、でもそれで悩むくらいなら、だいすき とかありがとうは伝えよう、そう思って今年を歩いてきた。
それはまぁひとの勝手だ。
私はAさんの、彼のうたにずっと救われてきて。じぶんはうたわないから入ることはきっとないそのサイト、感想を送ることどころか、たのしみに聴いていることも知らせられなくて歯がゆかった。
だから私は私の自己満足のために。
おどろいただろうけど、私はあなたのうたに助けてもらった、そんな言葉を投げつけました。
みたことのない顔をした彼は、なのに、たくさん時間をかけて、考えてくれて、そうして、すごくうれしい。そう言ってくれた。
ちゃんと届いてたことが、うれしい、と。
でも恥ずかしい!
そう叫ぶ彼、よかった離れていかなかった なんて最後までじぶんのこと考えてた私。
だけどほんとうにうれしかった。
こんな、つくり話の奇跡みたいに出逢えることなんて、世の中にどれほどあるのだろう。
これからも新曲、たのしみにしています。
あと、生で歌声を聴かせてもらうことも、ひそかに期待しちゃったりしてます。
嘘みたいなほんとのお話でした。