ええもん見せてもうた
とあるおじいちゃんが入院しとってな
そこへ息子さんがおばあちゃん車椅子に乗せて
お見舞いにきてたん
よう見たらおばあちゃんもおじいちゃんと
おんなじ病院のパジャマ着とる
息子さんが「実はおふくろは今日退院で、親父が昨日から入院で」みたいな話を、看護婦さんにしとるんが聞こえてきた
「それでね、もう、最後かもしれやんから
会わせにきたんです」って。
おじいちゃんもおばあちゃんも
そんなに苦しそうな様子じゃないし
そんなすぐに死ぬような風にも見えやんのやけど、でもなんやろな、人間が最後に行きつくぐらいの年齢なんかなぁっていうのは確かにみてとれた。
どうやらおばあちゃんの方は退院したら施設に行くみたいやった
おばあちゃんもおじいちゃんも、ちょっとボケとるんかな、車椅子でおばあちゃんがベッドに近づいても2人とも別にあんまり反応せんのさ
そしたら息子さんが看護婦さんに「ベッドにもう少し車椅子近づけられませんか、手でも触らせてあげたい」っていうて。看護婦さんがうまいことベッド寄せて、2人は看護婦さんと息子さんに誘導されて手つないだん。
そしたら今までぼんやり見つめとったおばあちゃんのほうが「あれ、お父さんやんか。なんか手あっついな!」って言うた。
そしたらおじいちゃんの方もぱちって目覚まして。
息子さんが「親父、わかるか、お袋やで」って
言うたら、おじいちゃんのほうが実はおばあちゃんよりも多少よくわかったらしくて「おー」って言って手握っとるんやわ。
もうこれだけでも泣きそうになるやんか。
そしたらおじいちゃんがさー
にぃー って笑ってさー 大きい声でさ
「愛してしまったんやからー仕方ないなー」
って言うたん。
なんかちょっと照れくさそうにさー
でもなんかもう凄い嬉しそうなんやわそれが
そのあとは2人で手握り合ってた
なんかもうなぁ
涙出てきそうやったよ
おばあちゃんは時間になったら
車椅子押されて行ってしもたわ
施設に帰るんかなぁ。
現実問題、施設に入っとるボケたおばあちゃんと入院しとるボケたおじいちゃんじゃそうそう会えへんわな。それも、なんか2人とも、今はそんな風やけどいつどうなるかはわからん、明日何が起こってもおかしない、そんな歳の重ねたものを感じたわ
息子さんが「最後になるかもしれんで」っていうたん、あながち冗談じゃない感じやった
あんなに幸せそうな2人見られるなら
毎日でも会わせてあげたいけど
でもなんか言いたいのはそこじゃなくて
でもなんかそういうのを超える多幸感というか
「こんな風な夫婦になれたら最高やな」って
ほんとにそれだけ思った
ありがとう、凄いええもん見せてもらった