元気な声を出すのが得意です
他に何もとりえはありません
信じていた人に利用されていたと知って、悲しくて悔しくて泣いていた時も、
楽しいことが全部なくなってしまって、死んでしまいたくて笑うしかなかった時も、
結局怖くなって、死ねる直前で自殺に失敗して床に転がって、もう少しで死んでいたんだという現実感のなさに震えていた時も、
おかあさんに名前を呼ばれれば、「はーい」って元気に、いつもと同じトーンで、何もなかったみたいに返事ができるんです
その時だけ私は嗚咽も笑いも震えも呼吸もぜんぶ忘れて、おかあさんの返事に答えて怒らせないための機械になります
元気に返事をして、顔と目の表面をちゃんときれいに拭いて、すぐにリビングにいけば、やさしいおかあさんはおこりません
わたしは元気な声を出すのが得意です
何もできないだめなわたしに得意なことを作ってくれたおかあさん、ありがとう
たすけてください
