私は好きな先生に嫌われていた。以下T先生とする。
原因としては、私は素で口がとても悪く、誤解を受けやすかった。そして素直じゃないから本心でない事をさも本心かのように言ってしまう。
T先生には私が不登校の時とてもお世話になったし、尊敬していたのだが、やはり素直に感謝の言葉が言えなくて軽口悪口しか言えなかった。
私が言葉の使い方も間違うときもあった。辞書に書いてある言葉の意味と、会話のやりとりの中での言葉の意味は違うことが多々ある。
一度T先生の大切な人を貶めるような言葉を意図せず言ってしまい、誤解されて、本気で怒らせてしまった。
その怒らせた時から数ヶ月経っても、T先生と私の会話はぎこちなかった。冷たい。ビジネスメールのやりとりの方がまだ温かみがある。
他の生徒とT先生が話すときはとても和やかで楽しそうだった。
私と話すときは真顔で笑顔が一切ない。一度先生の笑顔が見たくておちゃらけてみたが、反応は薄かった。
早く私との会話を切り上げたいんだろうなとは思っていた。
私が志望大学に合格した直後に両親が事故で働けなくなってしまい、奨学金の情報を必死に集めていた時があった。
これ以上嫌われるのが怖くて、担任だったT先生にはわざと相談せずに、進路指導の他の先生に相談していた。
しかしある日、T先生が給付型と貸与型がごっちゃになった奨学金の一覧表を印刷して私の所に持ってきた。エクセルでの手作り感がすごかった。
なぜ、何も知らないはずのT先生が私に奨学金の情報を渡してきたのか訳が分からなかったが、T先生は淡々と注意点だけを説明して去っていった。
後から聞いた話だが、私の奨学金に関する相談内容をどこからか聞いて、夜なべして資料を作っていたらしい。
未だにT先生が作ってくれた奨学金の一覧表は大切に保管している。
給付型のところは黄色でマーカーが引かれてあって、ところどころ文字の中央揃えができていない。ボールペンで書かれた汚い走り書きの注意点。
多分私みたいな生徒のことは忘れているだろうし、友達も居なかったから同窓会も誘われない。もう二度とT先生と会うことはないだろうけれど。
あなたの教え子で本当に良かったと思います。ありがとうございました。