僕は異常なのかもしれない。
9ヶ月前に僕は祖父を亡くした。
看取ることは出来なかったが、その日で一番体調が優れていた時に最後となる会話を交わした。
「お爺ちゃん元気?僕は勉強頑張ってるからお爺ちゃんも頑張ってね。」
僕がかけた最後の言葉だった。
その時、沢山のチューブに繋がれた祖父の姿を見て心を刺す痛みがあった。
涙が目に滲んだ。
けれど、祖父に関して涙ぐんだのはこのときだけだった。
祖父が亡くなり連絡を受けたとき、妹は号泣。
兄は平常を装っている様にも見えた。
しかし僕はと言うと、涙も何もなかった。
嬉しいわけでは絶対に無い。
祖父はとても優しかった。
それなのに、葬式でもそのあとでも涙を目に浮かべることは一度もなかった。
僕は、苦しい思いをして生きている祖父に同情したんだろう。
けれど亡くなった時に泣かないグズが居るものかと自分に酷く落胆した。
今でも祖父の事を考えるし、寂しくないはずがない。
けれど祖父の前で手を合わせる度にこの事を考える。
自分の情けなさに涙が出そうになるほどに。
僕は異常なのかもしれない