近未来。
20XX年、日本国。
出生数は過去最低を更新し続け、
消費税は国民の怨嗟の声をものともせずに5度「改定」され、
にも拘らず財政は悪化の一途を辿り、
退職後の国民の生活を支えるはずの公的年金制度はとうに破綻していた。
だがしかし。
雀の涙と言うのもためらわれるほどの金額ではあったが、
「年金」は廃止されることなく続いていた。
国民への温情?
選挙対策?
間違いとは言えないが、真の理由は別にあった。
それは「面目」。
誰もが悪者にはなりたくはない。
まがりなりにも続いて来た制度を、自分の代で潰したという「実績」を嫌ってのことだった。
本音を言うなら今日にでも廃止したい。
国民の福祉など、お題目以上の何者でもないのだから。
しかし国民の批判の矢面に立つ面倒はごめんだ。
まあいい。
じわじわとなされてきた搾取はもはや公然と行われ。
牙を抜かれ、生きるのがやっとの生活を送るよう、飼いならされた国民。
これからも格差はますます拡がることだろう。
でも、使える権利も使わず、こうなるまで放置した国民にも責任はあるしね?
まあ、権利の事なんかできるだけ教えなかったけどさ☆
ごくごく一部の者だけが潤う、今の日本。
大半の国民はその者たちを養うための家畜に等しい。
心あるものがこの国の現状を見たら、どう思うのだろう。
ディストピアが顕現した、そう、嘆くのだろうか。