当時の私にはTwitterで絵師さん同士が交流したり字書きさんと妄想ツイにリプし合ったりイベントのオフ会してる写真が上がったりしている世界が本当に羨ましかった。
だけど私は絵が下手で小説も会話文みたいなのしか書けないし、質の良いネタを大量投下できる人間でもなかった。
でもどうしても諦められなかった。
ある日ハマったジャンルで原作での接点がないふたりだけど、とてもそそられるA×Bイラストを描かれる絵師さんがいた。その絵師さん自体フォロワーも多く、上げられたイラストやマンガにもたくさんのいいねがついていたが、やっぱり接点のないふたりのカップリングなので他にそのふたりをかく絵師さんも字書きさんもいなかった。
だから私は企んでしまった。
ABで二次創作したらいつかあの神絵師の目に映る日があるのではないか?
そう考えたらもう居ても立ってもいられなくなってABの小説を書いていた。小説なんてロム専で知識こそあったけど初心者だった。芽生えたばかりのAB熱を拙いけれどしたためた。正直マイナーだし接点ないけど、だからこそ一から関係性を作ったり、また捏造したり、元にしばられることなく好きにできてとても楽しかった。
それは案外早く、2作目のAB小説であの神絵師の目にとまりTwitterのアカウントがフォローされていた。
もう思い出せないけど、泣くぐらい嬉しかったと思う。叫んだだろうし、スマホもしっかり投げて驚いてたと思う。
そこからはもうとにかく早かった。
妄想ツイにいいね、空リプ、直接リプして頂いたり、「〇〇なAB欲しい〜」なんて呟いたら1時間後くらいにそのイラストが送られてきたりした。お互いの絵と小説に長文感想も送りあった。
これは本当にたまたまだけど住んでる都道府県が同じだと判明したばかりに、オフ会もした。もう最近まではオフ会なんてものではなく、用がなくてもご飯行くし週一並のペースで会う月もあったし、東京旅行もしたり、カウントダウンパーティーに行って一緒に年も越した。原作の映画を初日に見に行ったり、神絵師の家にお泊まりしたり、夜が開けるまで通話したりして、年の離れた友達みたいな仲だった。あんなに憧れた神絵師とただのロム専だった私が。
夢みたいだった。恋人とか親友とか特別な存在がいなかった私にはその人が生き甲斐だった。本当に生きる理由だった。その人に見てもらうためだけに小説も書き続けて今ではブクマ数とかも全然調子乗って良いくらいには評価もらってるし、フォロワーも多くはないけど少なくもなかった。
そんな私の生き甲斐の神絵師がジャンル移動した。
最近人気のソシャゲジャンル、私も好きで気になったカップリングを検索して見てたら見覚えのある絵柄が流れてきた。半年前の事前登録の時からお互いに絶対このキャラ好きになるって言い合ってた。
なんだかいけないものを見た気がしたけど、その後発売された原作のゲームでAとBを操作しながら通話して、「あのソシャゲリリースしましたね〜、〇〇くんめっちゃ私たちが好きなやつじゃないですか〜」みたいな会話をふったら向こうから新しくアカウント作って活動していると教えてくれた。
その日から息切れ、胸焼け、動悸、もうなにがなんだか分からないけど辛くて辛くて身体もしんどくなって駄目になってしまった。
そのソシャゲジャンルで私たちが好きになったカップリングはもう、接点ありまくりでストーリーが進む度に絡む絡む。とっても良いこと。接点のないABでもあれだけ人気を得ていた神絵師がそんな人気なふたりを描いたらフォロワー数とかとんでもないことになるわけで。既に神絵師は他の絵描き、字書きさんと交流してイラストを1日に何枚も上げて、感想を送りあったり、何気ない日常ツイにリプしたり、毎日通話もしているようだ。
楽しそう、その一言に尽きる。
ソシャゲジャンルの活動が盛り上がってる反面、こっちのアカウントに帰ってきてなにか呟くなんてことは極端に少なくなった。ABの絵はもちろん書かなくなったし妄想ツイもしなくなった。ただタイムラインは目を通しているようで、私の妄想ツイには律儀にいいねが付けられた。つい昨日珍しく一言「好きです」と感想も付けられていた。
私もあのふたりが書けたらな。
私が二次創作活動ができたのは私以外に誰もABの小説を書いてる人がいなかったから。誰の二番煎じにもならなくて済んだ。なんでも私のオリジナルになった。接点がないからこそどんな設定でも書けた。
でも人気ジャンルとなるとダメだ。もう誰かがそのふたりを書いている。私が書くとパクリになってしまう。書きたいと思ったシチュエーション、設定、関係性は私が一から考えたものでも全て二番煎じだった。私には他の人が考えつかないような素敵な設定を考えつけるだけの発想力がなかった。ABの接点のなさに救われていた。
悪いのはフォロワーさんでもそのソシャゲでもない。ジャンル移動も悪いことだとは思ってないし、向こうのジャンルでどれだけ盛り上がろうが全然良いのだ。醜い嫉妬だ。もう私には見向きもされないと気付いてしまうと涙が止まらなかった。心底好きなくせに神絵師のことが嫌いになってしまいそうになる自分が嫌だった。
毎日のように来ていた通話のお誘いももうない。当たり前だけどこの時期だしもう遊びにも行かなくなって数ヶ月になった。お互い忙しい時期に来ていた「遊びたいです〜最近会えてなくて寂しい〜ぴえん」みたいなLINEも来ない。
今はただ神絵師が次のジャンルで楽しそうに活動しているのを影から見ているだけだ。
幸せになって欲しい。恋愛感情なんかではもちろんないけど私が人生で1番好きになった人だった。あなたがいなければ生きるのがこんなに楽しいことだとは知らなかった。特別だった。生きる理由だった。あなたともう前のような関係に戻れないとずっと気付かないふりしては毎晩泣いた。でも今でもずっと好き。変わらない特別な人。嫌いになることなんてどうせできない。
だからどうか私がいないところでも幸せになって欲しい。
名前のない小瓶
97578通目の宛名のないメール
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ななしさん
パクリなんかではありません。好きなものを好きなように書いてください。きっと貴方の作品が好きな人はたくさんいると思います。応援しています。
名前のない小瓶
胸が痛くなりました。
プラベで遊んだりするほど親密ではなかったけれど、親しくしてくださった神がジャンル移動して、別垢で毎日楽しそうにしてるのを葉陰から見ています。
仲良くなったくだりなどは主さんと全然違うのですが、最後の幸せになってほしい~からが理解できて苦しいです…。
もう5年ほど前のことですが、いまだに1番大好きで1番影響を与えてくれた人でした。
もう戻れなくても、神に幸せでいてほしいですね。
ななしさん
涙が出ました。あなたも幸せで居て欲しい。
ななしさん
とても良くわかります。似たような状況なので。具合が悪くなるのもわかりすぎる…。ご飯がろくに食べられなくて何とか立ってるような状態で、でも相手にそれをぶつけるなんて我儘はどうしてもできなくて。でもどうしてこう一方的に私だけ辛いんだろうとか思っちゃったりして。今は少しだけましになったので、小瓶主さんのように向こうの幸せを素直に祈ることができたらいいな。
ななしさん
すごくわかる…フォロワーさんと「すごく」仲良くなるとジャンル移動とか他の仲良い人との絡みとか辛くなりますよね。
でも神絵師さんとの出会いであなたは創作において物凄いモチベーションを得て創作物のクオリティが急上昇し評価を得て、彼女との楽しい時間を過ごしたんですね。
色々とお辛いでしょうが、きっと未来にまた別の良い出会いが待ってますよ。
キングテレサ
生きる理由を得られたその貴重な体験はあなたの心の宝物ですね。
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