現実なんて見ません。
見たくないものは見ません
思い出したくない過去も、終わりにしたくなるような自分の人生も、錆色の日常も、何一つ見ません。
自分はもういいんです。やれることはやったんです。
何もかも、自分としてはもう関わりを持ちたくない。
誰とも関わりを持たず、誰にも覚えられず、存在している事すら誰も知らない。
全てのしがらみから開放された場所で、ただ静かに……大きな喜びも深い悲しみもなく、自分が好きな物語の世界に浸って泣いて笑って毎日をただただ幻想の中で過ごしたい。
それは現実じゃないとか、空想の世界は一時的とか、そんな事もどうでもいいんです。
一つの物語が終われば次の、それが終わればその次の。そうやってつなぎつなぎで生きていく。
現実なんて、こんな世界をまともに直視しようなんてしたらきっと壊れちゃいますよ。
汚い汚い薄汚い汚れた世界。愛だの友情だのなんて、所詮は詭弁の為の言葉遊びでしか使われない。
だから見ることをやめたんです。
そしてもう二度と見ようとなんてしないでしょう。
ある意味で自分は自分の人間としての生を終わらせたのかもしれません。
時代が違ければ自分はお坊さんや修道士になっていたのかもしれません。
ドアを閉めて、外界の一切から自分を隔離して自分の見たいものだけを見て自分の信じたい事だけを信じる。
それでいいのかもしれません。