彼女を見たとき夢だと気づいた。
泣きながらこれは夢なんだと伝えハグをすると、彼女は困ったように笑った。何かを言っていたが、覚えていない。
彼女の私より大きな身体が優しく私を包んでくれた。(デブジャナイヨッ)
私は同性の背に抱きつく癖があった。しかし夢ではバックハグではなく普通のハグだった。
修学旅行の一幕のようだった。何をしていたのかは曖昧で、ほとんど何も覚えてはいないが、それは妙にリアルな質感を持っていて、私はここが夢の世界ではなく、パラレルワールドの一種なのではないかと考えたほどだった。
修学旅行を終えた。帰りのバスから降りる。私はもう逢えないんだとまた泣いた。彼女は困ったように笑ってハグをしてくれた。何かを言っていたが記憶には残らなかった。
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初恋。小、中学生の頃の話だ。
私は「レズビアン」という言葉を知りながらも、とうとうその恋心に気付くことは無かった。
大人になった今、彼女を夢に見るようになってようやく気づいた。なんと哀れなことか。
当時恋人だった異性の奴には申し訳なく思う。何故あんなにもすぐに冷めてしまったのか。簡単な話だ。それは本命がいたからである。
また会いたいと願っても、連絡手段がないのだ。それに今の私には既にパートナーが居る。人に聞いてまで会いたいか、と言われても首を横に振るしかない。
今のパートナーにも申し訳なく思う。君のことは夢に見ないのに、彼女ばかりが夢に出るんだ。
それでも、夢でいいから、また逢いたい。