美術室って好きだ。
絵の具と、木の机と、少しホコリっぽい
匂いが混じり合っていて独特な匂いがする。
最初は鼻が痛くなって嫌だったけど、
もう今は好き。慣れたのかな。
だから、週一である美術の授業の日、
私はクラスの誰よりも早く美術室に行って、
そこで日々の疲れを癒す。
自分の席に座って、全然綺麗じゃない
ザラザラで傷だらけの机の木の冷たさを
全身で味わう。
まぁつまり突っ伏すってことなんだけど。
木の匂いが鼻腔をくすぐって気持ちいい。
当然のことながら美術室には先生がいて、
色々忙しそうにしてるけど、
私は気にせずに美術室で1人、
余り5分の休み時間を過ごす。
別に邪魔はしないけど、手伝いもしない。
私には出来ないだろうし。
先生にも話しかけない。話すと疲れる。
考えないといけないから。
口を動かしたまま頭を使って次に言う事を
考える、「喋る」というのは難しい。
こうやって文字に書くのは良いけれど、
喋るのは苦手。しかも、自分の思ったまま
意見を言うのはタブーで、空気を読んだり
愛想笑いしたり、時には思ってもない事を
言ったり、本当に疲れる。
自分にはコミュニケーション能力が
ことごとく欠如しているのだと、そう思う。
そんな自分が嫌いだ。
大嫌いだ。
浅い人間関係しか築けない自分が、嫌だ。
だけど、美術室で休んでいると落ち着く。
週にたった5分の時間。
私にとって癒しの時間だ。
私も先生に何も言わないけれど、
先生も私に何も言わない。
忙しくなさそうな時にも何も言わず、
机に座って頬杖をついてる。
私は机の上の傷に目を向けたまま、
先生の視線を感じとる。
別に喋りかけてくれても良いんだけどな、
たまにそう思う時もある。
気づまりな空気でもある。
だけど自分からそれを壊す勇気はない。
先生、私のことどう思ってますか。
哀れですか。迷惑ですか。
友達作って、もうココ来ない方が良いかな。
喋らない私は、嫌いですか。
先生のこと好きでも嫌いでもないけど、
気にはなります。
寂しそうな先生に同意識を持ちました。
先生、あなたはきっと私に似ています。