子供の頃から空気になりたいな、って思ってた。
きれいな絵本、人魚姫は最後に空気の娘になった。
(本当はもっと残酷な結末らしいけど、
日本の子供向けに優しい結末になってた。)
それにものすごく憧れた私は、
かなり変わってる5歳児だったかもしれないな。
そしてそのまま大人になった。
年ばかりくった。
いまだに私は空気の娘になりたい。
あ、もう娘とは言えないか。
何も考えず感じず食べず飲まず体の感覚もなく意思もなく義務もなく。
生きるって面倒くさい。
やらなきゃいけないことが多すぎる。
何もしたくない。
それならやりたいことをやれ、と言われるけど、
それがわかってたら苦労はしない。
私が本当にやりたいこと、眠り続けていたい、ただそれだけ。
何も考えず感じず食べず飲まず・・・・って、
つまり生きているのをやめたいのかな。
別に死にたいわけじゃないんだけどな。
やりたいことがあるのが普通、
やりたいこともないのはおかしい、
やりたいことが無いなら、何か作れ、と、
そんな周りからの見えざる圧力が面倒くさい。
赤ちゃんの時、周りの同じ月齢の子たちが
おすわりしたり立っちしたりできるようになる頃、
私はひっくり返ったままで寝返りも打たなかったらしい。
そのくせ他人が近づくとすさまじい鳴き声をあげたから、
腹を立てた看護婦さんが、
「こんな社会性のない赤ちゃんは初めてだ」と吐き捨てたらしい。
看護婦さんにかけられた呪いが今もかかってるのかな。
確かに私は普通の人たちと同じような社会性が欠けているのかも。
赤ちゃんの時から、ひっくり返ったまま生きてきたような感じ。
何のキャリアもない、趣味もない、感動もない、喜びもなければ悲しみもない私の日常。
それでも起きてればお腹が空く、食べ物を買わなきゃならない、
お金が必要だから働かなきゃいけない、
こんな何もできない私を雇ってくれるところなんて、
万年人手不足の重労働だけ。
はぁ。
私が生まれてきたのはなんのためなんだろう。