返事は要りません。
「2人1組になってください」
この言葉が大嫌いでした。
小学校2年生くらいまでは、クラスの中でも明るいほうでした。
ところが3年生に進級するとクラス替えがあり、仲の良かったクラスメイトとはクラスが離ればなれになってしました。自分から声をかけにいくのも怖くて出来ませんでした。前の年までは元気だった自分は喋る回数もだんだん減ってしまいました。登校してから誰とも話さずに家に帰る日が続きました。
そんな時、夏休み明けにクラスに転校生がやってきました。A子とします。転勤族でした。
彼女は大人しい子でしたが、休み時間に話しかけてくれたのが嬉しかったです。それから2人で行動するようになりました。
4年生になり、クラスは3年生の時と同じだったので、自分はA子とよく話していました。
ある秋の日、音楽の授業のテストがあることを聞き、
その時は2人1組のペアになってもらうと言いました。
A子は「一緒に組もう」と言ってくれました。
ところが当日、A子に声をかけると「別の人と組む」と断られました。
「一緒に組むって言ったじゃん」と言っても「ごめん」と言われ、困ってしまいました。
クラスの人数は偶数でした。先生が3 人でグループを作っている女子を見つけました。
(B子、C子、D子とします)
「1人抜けて欲しい」と先生が言い、B子が抜けてわたしと組むことになりました。
B子は涙を流しました。それを見てC子まで泣き出しました。
B子、C子はクラスの中で好かれていた人でしたが、わたしはほとんど会話をしたこともありませんでした。
何もしていない、と言っても過言ではなく、A子も彼女たちとは関わりがありませんでした。
※D子についてはよく覚えていません。
「B子も、C子も、泣くほどわたしのことが嫌いなのか。何もしてないのに」と悲しくなりました。
それから、4年生が終わるまでの数ヶ月をどう過ごしたのか覚えていません。
A子とも何を話したか、そもそもまともに話したのかすら覚えていません。
勿論B子C子D子とは口を聞きませんでした。
5年生のクラス替えでは、その4人とは離れたクラスになり、6年生になる前にA子は転校して行きました。
中学に言ってもB子C子D子と同じクラスや部活になることはなかったので、偶然とはいえ安心しました。
時が経ち、自分は社会人になりました。
A子とはもう会うことはないですが、たまに「今はどこで何をしているのだろう」と気になることがあります。
インターネットの世界ではよく
「2人1組になってください」という言葉に関するトラウマを見掛けます。
わたしはそれを聞いては、あの頃の苦い経験を思い出します。