私は、ネットで知り合った人が初彼だった。
ネットと言っても、LINEのオープンチャットというやつだ。
参加者は百人越えの、そこそこに人気のオプ。
そこで副管理人をしていた私と〇〇(初彼)は、その前日、個人LINEを交換したばかりだった。
ハートマークがついていてもなんら違和感のない通知が来た時は、本当に焦った。
人生初、告白である。
初めは何かの間違いかな、と思ったが、ライブトーク(オープンチャットの公開の音声通話)で話した感じ、彼はそんな事を冗談で言うような人間では無い。
とりあえず、嬉しさと驚きで固まった。
自分は、告白されるほどの人間になったのか、と。
誰かに認めてられるくらい成長したのか、と。
瞬間、私は通話のアポを取り、電話をかけた。
話してみても、どうやら本気のようで、私が「私は〇〇のこと好きやないで…?」と言えば、「大丈夫、絶対好きにさせるから」、「恋愛経験ゼロやからなんもわからんで…?」と言えば、「初めてもらっちゃったって事でしょ?なんなら嬉しいよ」と返される。
私は極限まで有頂天になっていた。
なんともまあチョロい性格なのだろうか、
一瞬でOKした。
その日、9月9日から、私は〇〇の恋人になった。
それからは、朝、六時くらいに起きて電話をしてから学校へ、家に帰ってきたら電話をする、という生活が続いた。
そして、秋を感じさせる金木犀の匂いが漂うある日、一件のLINEが来た。
一瞬、とんでもない長文に目を疑った。
何やら大事な話のようだった。
ふられるのか、それともまた別の話なのか、不安な気持ちを抑えながら、既読をつける。
…案の定、私がふられるらしい文章だった。
私が前から頼んでいた、ご両親にネットで恋人ができた事を話してくれ、というのをやってくれたらしいが、どうやらご両親は猛反対。
本当に私のことが好きなら反抗してくれたら良かったのに、と思うが、「これだけは、お願い。」と頼まれて断れなかったそうだ。
まあ、そこまでの愛ならそこまでである。
実に、二、三週間の事であった。
始まりはいきなりで、終わりも呆気ない。
私は、はっきり言って、……落ち込んだ。
一日中使用するぐらいには、スマホに依存した。
失恋って、こういうものなのか。