子どもの頃、祖父母に育てられた。家は農家で、すごい田舎だったから、となり町までバスに乗り小学生でも歯医者ぐらいは一人で行くしかなかった。
1時間に1本のパスに乗れないと、何もないバス停で待たないといけなかった。
治療した歯が痛くて、噛んでたガーゼが血で真っ赤になって、たまった血で染まった唾を雪の上に飛ばして立ってたら、寒いし寂しくて辛くて泣きたくなった。
その時連絡もしてない祖父が軽トラで迎えにきてくれて、顔を見た途端に泣いて祖父の所まで走った事があった。
私は大人になり、子どもも出来て、祖父は95歳まで生きた。
亡くなる前にバス停で一人で立ちすくんでた私の話をしてくれた、「泣きながら走ってきたんだ、めんこ(かわいい)だったじゃ。」と。
同じ記憶があった事がやたら嬉しかった。
じいちゃん、今年も雪が降ってる
バス停に立ってると、軽トラに乗ったじいちゃんが来てくれそうで、ぎゅっと胸が締め付けられる。