『不適切な命』
今日ほど絶好の自殺日和が今までにありましたでしょうか?外は全くの曇天で、庭木では小鳥が小鳥以外なんにも知らないままさえずっています!目の前では電子回路が悠々動いて私の目をじっくり焼いていますし、私じゃない誰かの喋り声あるいは私自身の言葉が世界中で氾濫していますし!こんな生命に満ち溢れた今日この日に命を横たえることができるなんて、一体どれほどの幸せなのでしょう!ネクタイを用意してください。ほころばないよう適当に結んでドアノブと首にひっかけてしまえば、あとは貴方が選ぶだけですよ。貴方が何度これを繰り返したかなんて私には塵ほども興味なんてありませんが、そのたびにあなたは誰にも見せたくない涙を流していたことを覚えています。私たちはずいぶん遠くまで来てしまいました。もうあの時の苦しみも恐怖も悲しみも空虚さも意欲も無力も笑顔も幸せもなあんにも覚えていないのでしょう?なんにもなくなった貴方に、私に、どんな意味があるんでしょうか。言葉さえ紡げなくなった私に、どんな救いがあって、どんな人生が、終わってくれるのでしょうか。
早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!早くネクタイを用意してください!
生きたいなんて願ってはいけませんよ、貴方にそんな資格があるとお思いで?
生きることを、いとも簡単に捨てた癖に、今更縋って何になるんですか?
だからはやくネクタイを