おまえと歩く帰り道が一日の中で、一番好きで一番きらい。おまえがあの人と話すために学校に行くみたいに、わたしはあんたと帰るために学校に行ってる。八時間とすこし能面みたいな顔で過ごして、あの30分が唯一わたしの楽しみ。わたしは家が嫌いで、学校も嫌いで、狭いこの片田舎に住まう受験生なんてそのふたつとインターネットだけが居場所みたいなもんだからわたしは自分が嫌い。大嫌い。雪の中一時間かけて歩いて、手真っ赤にしながらただいまって言って、もつれて凍ったぐちゃぐちゃの髪と濡れたマスクとそこから落ちる滴と、あと貧血のせいで土色なのに寒いから変に赤くむくんだ不細工な顔を鏡で見るのが嫌だ。部屋で布団を殴るのも嫌だ。父さんがトイレ行ってる隙に叫ぶのも嫌だ。トイレで声上げて泣くのも嫌だ。夕飯作りながら泣いて食べながら泣いて風呂場で泣いてドライヤーしながら泣いて布団の中で泣いて馬鹿みたいだと思う。だいきらいだった。だいきらい。しねばいいとおもう。わたしを不幸にするぜんぶが死ぬのとわたしひとりが死ぬのとだったら絶対に後者の方が簡単だから、わたしひとりが死んでしまえば幸福の量がほんの少しは上がるんじゃないかと思う。でも死ぬのは怖いから意気地無しのわたしは今日も生きてる。意味がわからない。クソみたいな人間だと思う。飢えで喘いだこともないのに不幸だなんて言うなよ、と。本当に思う。思ってる。
わたしは幸せ者である。恵まれている。親も友人も先生もいいひとばかりでありがたい。中々ない素敵な境遇だと思う。誰も悪人じゃない。貧乏でもない。わたしは圧倒的に恵まれている。ありがたい。ありがとう。感謝している。食べることができて入浴も運動も睡眠も学習もなに不自由なくできている幸せだありがたいありがたいですありがとうございます。
クソ
あんたといるときがいちばんしあわせだよ。あんたといれるからいきてるんだよ。おまえにあうためにいきてる。あいたいよ、いますぐあいたいよ、ほかでもないあなたにあなただけにあいたい。たすけてくれよ。
たすけてくれよって3年間ずっと。
あんたがだいすきですだいすきでだいすきでだいすきでだいきらい。ほんとうに。おまえをみてるとどうしてもしにたくなってしまってみじめになってしまってわたしのひとりぼっちがうきぼりになってさらされている。さびしい。くるしい。きもちがわるい。だいっきらいだとおもう。
大好き。この世の何よりおまえがすき。