壁の向こう側にうつる光景が、羨ましくって、悲しくって、憎たらしくって、胸が締め付けられる。
与えられたモノを、当然のように享受して、与えられない者がいない事にも気づかない。
欲しかった。
私は、ソレが欲しかった。
歪な箱の中で見えない壁に阻まれて、そこから眺めながら、ただただソレが欲しかった。
夜毎ヌイグルミに語りかける。
幼い自分に語るように。
過去の自分に語りかける。
どうしようもないよね。
過去の自分に語りかける。
みんないなくなった。
過去の自分に語りかける。
苦しみは続くけど…
過去の自分に語りかける。
抱き締めてくれる腕はもうないけれど……
私が代わりに抱きしめるよと。