碧海視点
5月の下旬。すっかり茜と仲良くなった俺は、中休みを一緒に過ごす。
茜「碧海~いまさらだけどここって入っていいとこなの~?」
碧「鍵かかってねえし別にいいだろ」
ここは資料室の奥にある秘密の部屋。4月の最後くらいの時、俺はあいつらに仕事を押し付けられた。資料室に社会で使う資料を取りに行った。その時、偶然見つけたその部屋は、俺と茜の秘密基地のようになっている。
茜「それもそっか~。教室居づらいもんね~」
茜は隠そうとしていたが、こいつもクラスの中で浮いていて、居づらそうにしていた。
今ではふたり揃っていじめられるが、味方がいると心強い。
ガチャッ
碧・茜「!?」
?「あ…ごめんね急に」
この部屋をこいつも知っているのか?疑問に思って顔を覗くと、どこかで見た顔だった。
?「A組の碧海くんと茜くんだよね?自分は柚木萌希といいます!よろしくね」
生徒会長でキラキラしてるタイプの陽キャ。同じクラスなのだが、茜以外の名前を覚えてない。
萌「資料室入ったら教室居づらいって聞こえて…自分生徒会長だから安心して話して」
嫌いだ。こういう偽善者が大嫌いだ。言うだけ言って味方にはならない。信用しない。
碧「特に何もないですよ。貴重な中休みをドブに捨てることになりますよ。それともこの部屋に用事ですか?でしたら退きますよ」
早口に、できるだけ刺々しくなるように言う。
碧「茜、行こっ」
茜「あ、うん…」
去り際。
萌「待って!話があるの!」
俺は関わりたくないから、首だけそちらを向ける。
茜「ねえ…聞いてあげない?」
茜を見たあと、会長の顔を見る。歪んでいて、目には涙が溜まっている。
碧「どうされました?」
これが、俺たち三人の、出会いだ。