私の母親は学歴というものに対して理想が強かったです。
私が小さいころから、色々とテキストを買ってきたり、ラジオ英会話だったり、先回りしてあれこれ勉強を強いられました。しかし残念ですが、母親自身が勉強ができないため、聞きかじってきたものだったり、母親独自の勉強法で結果にはつながりにくかったです。
私が子供のころに、既に勉強嫌いになっていたのはこのせいだと思っています。私の成績は真ん中くらいだったせいか、母親に褒められた記憶がほとんどなくて、自己評価はずっと低いままでした。
高校生の頃から成績は下降し続けて、大学入試は全落ちしたため、仕方なく一浪して、Cランクと言われる大学になんとか引っ掛かりました。それを報告した時、母親はこの世の終わりのような顔をしていて、期待に応えられなかったことに、申し訳なく情けなく感じました。
大学4年になり就活が始まりましたが、自信が無さ過ぎて一社も受けずに卒業しました。
我ながら異常なことだと思いますが、だからこそ、「自分は当たり前のこともできない人間なんだな」と劣等感が強まりました。
長らくフリーターやニートでしたが、今は何とか働いています。
しかし、子供の頃から自信が無くて、何故自分はここまで辛い日常を送らなければならなかったのか折り合いもつけられません。
自信が無い故にたくさんの事を諦めてきたことにずっと後悔もあります。
同時に、ずっと干渉して振り回し続けた母親に強い怒りもあります。母親から言われた心無い言葉もずっと覚えています。大人になっても自信が無いことも、母親に憎しみがあることも、どちらも辛いです。
話は変わりますが、先日、Youtubeで格ゲーのプロゲーマーであるウメハラさんが人生相談に答える動画を見ました。
相談者が私とよく似た境遇で、感情移入してしまいました。
その方も母親から厳しく教育を受けて干渉され続けていました。育ててくれた母親に感謝の気持ちもありますが、全く褒めてくれなかったせいで自己評価が低くなり、今でも苦しんでいるようです。そのせいで母親に強い憎しみがあるというお話でした。
ウメハラさんは相談者に共感しつつも優しく励ましてました。話がひと段落したところで、言葉を慎重に選んで「この文章を読んだとき最初に感じたことは、お母さんかわいそうだなと思った」と話し始めました。「あなた(相談者)は何も悪くない。」と付け加えてもいました。
ウメハラさんが続けて話したことは、完全に子育てを放棄した友人の父親の話と、子供の好きなことを全くを否定しなかったウメハラさんの父親の話。後者は理想的な親に見えますが、それでもプロゲーマーになる前の苦しい時期は、「なんでもっと勉強しろって言ってくれなかったんだよ」と憤りを覚えたそうです。
「親はみんな手探りで子育てしている。子育てが紙の試験だとするなら、友人の父親は0点。あなた(相談者)のお母さんの点数は良くて10点20点だけど、必死に問題と向き合って、テストを解こうとしていたように感じる。どうにか空欄を埋めようと時間いっぱいまで使って、何度も書き直して必死に解こうとしていた」
この動画を見たときに、少し泣いてしまいました。
私の母親は、母親が子供の頃に親に全く勉強しろと言われませんでした。だから、大人になってから学が無くて苦労したそうです。
親に褒められたこともなかったそうです。だから褒め方がわからなかったのだと思います。
自分が辛い思いをしたから、私に同じ思いをしてほしくなかったのだと思います。母親も必死に空欄を埋めて問題を解こうとしていました。結果、おそらく30点くらいの点数になったと思います。
母親に対して愛憎入り混じる感情がありましたが、憎しみだけでないのは、母親からしてもらったこともたくさんあるからです。
私が小さい頃、寝る前に本の読み聞かせをしてくれたから、今でも本が好きになりました。母親は料理が好きで、毎日多彩な料理を作ってくれました。母親が子供の食事をテキトーに済ませたことはなかったです。
ウメハラさんは最後に「もしあなた(相談者)の人生が上向き始めたら、お母さんを許してやってくれないかな。そうすればお母さんの人生も救われる」と言っていました。
私は今、人生に後悔と不満だらけで、将来に対しても悲観的です。ただ、今まで出来なかったことを一つずつ拾い上げているつもりです。就職して働きだしたことも、そのうちの一つです。
コツコツと積み重ねた先に、自分が幸せだと思えるようになったとき、複雑な感情がある母親に心底感謝できるかもしれません。
その時は、母親の試験の結果は決してひどいものではなかったと、そう自分が思いたいですし、母親にもそう思ってほしいと考えています。