死んだ私へ
以前の私と言った方が良いでしょうか
居場所を変えるたび私は死に、新たな私になってきました
あなたが何人目の私であったか存じ上げませんが、少し長く生きたあなたにとって、死は恐ろしいものだったでしょう
あなたが死んだのはおそらくついこの間のことです
私は相変わらず、思考の扉を、見えぬ程しかし確かに動いているという具合の速度で閉じていっています
少しずつ考えられる範囲、聞き取れる物事が少なくなっているのです。
あなたが必死に笑い、おどけてみせた活力というものを私はただ朝目覚め夜眠ることに当てがい、社会人として、労働者としての必要最低限を行っています
機械的にすぎていく毎日にふわふわと漂うことが現在の精一杯です
きっと地に足つけば、あなたのように自分の為に人を笑わせる人になるでしょう
笑わない人の隣は不安ですから
大丈夫です心配しないで
ちゃんと休まず出社しています
会社の人も優しいし、できないこともそお多くない
きっと長く勤めます
私はあなたより長く生きる
ありがとう
あなたのおかげです
あなたが続けたこの命を私も生かします
どうか記憶の中で消えずに私の糧として有ってください