僕の現在位置です
昨日は午後から精神科の医師と会ってきた。
ちょっと強迫症状が増えてきて、今が堪えどきですかね~とか、睡眠の質のこととか、まあいつもの感じで終わった。
病院の近くにコンビニがなくて、ちょっと歩いた所にあるスーパーに寄ったら、マルチコピー機が置かれてた。
ちょうどいいやと思って、そこから調剤薬局に処方箋をファクスした。
これまでは、バスで病院の最寄駅まで出たあと、その辺のコンビニから送ってたんで多少便利になったかな。
小腹が空いたので帰りにマクドナルドへ寄り道。
スパチキのセット、ポテトだけLサイズで揚げたてオーダー、単品でフィレオフィッシュにトマトを挟んでもらった。
コカ・コーラ製品はマシントラブルで提供できないと言われたので、ドリンクは紅茶にした。
その後、新しい掃除機を物色しにちょっと大きい家電量販店へ。
実家の掃除機が調子悪いらしく、先日クルマの中を掃除してたらヒューン……と止まって、まもなく焦げくさい匂いがしてきたなんて言ってた。
たぶんファンモーターのカーボンブラシが焼き切れて、通電しなくなったんだろう。
ブラシを取り寄せて自分で交換すれば安上がり(高くても¥3,000ぐらい?)で延命できるけど、そういうのを嫌がる人間が約1名いるから、後から文句言われるのも嫌だしなぁ、と。
何年使った掃除機なのかは知らない。とりあえず「新しいの適当に見繕ってメールする」って返しといた。
あれだけの苦痛を味わわされたのに、これじゃただのお人好しじゃん、馬鹿みてぇとか思ったけどさ。
もうそのぐらいしか接点ないし、いつ居なくなるかもわからないんから、深く考えるのはやめた。
掃除機売場に着いて数分、ヘッドの形やらグリップの握りやらを観察していると、やってきました、いつものアレ。
「お客様。何かお探しですか」
「あー始まった」と心のなかで溜め息つきながら「ええ、まあ」と曖昧な返事をする。
見た感じ、僕と同年代なんじゃない? という雰囲気だがどこかインテリ系を漂わせる風貌のスタッフで、首からは「メーカー説明員」という札が下がっていた。
メーカーから支給されたと思しき法被を着て、その背中には文字がデカデカとプリントされていた。
ああ、あそこね。
訊きたいことだけ訊いて、サッサと立ち去ろう。そんなふうに思ってたんだけど。
掃除機の蛇腹ホースの先、握る所の形とか、手元を捻ったときにヘッドがどんな風に動くかってのは、その手の業界に詳しい人、もしくはメーカーに勤務してる(してた)人なら自然とチェックしたくなる部分。
よく「掃除機なんて昔から同じ形だし、どれも一緒でしょ?」なんて言われるけど、メーカーが違うと使い勝手も違う。
けっこう本腰入れて検討しないと買い物で失敗しやすいのが掃除機という商品。
まあそんなことを思いつつ、「あー、このメーカーはみんなこういう造りなのかー、ベッドの下の奥まで入れると先が浮いてしまいますねぇ」なんて見てたら、そのスタッフが「これなんかイイんじゃないすか?」と、5万円の最上級モデルを持ってきた。
(買わねぇよ……)
手元の握りの部分を床面近くまで下ろしても、先が浮かない仕様の商品がある。床掃除だけなら1万円以下の掃除機で何の不満もないけど、ヘッド部分の可動域は広いほうが何かと便利なのだ。
「いやぁ、そこだけに5万円は出せんですよ。それに、これパイプ伸縮できないでしょう? しまうとき大変。そもそも、普及価格帯の商品にそのヘッドを載せないのが不思議というか。他社はお安いモデルにも当たり前のように載せてるじゃないですか?」って言ってみたら、マウンティング開始。
「いやいや、そういうときはココをこうすると浮かないんですよ」と、手元を左右に捻りながら実演。
しかし、左右に捻っているのでヘッドの向きが正面でなく斜めになってしまっている、それじゃあ壁際に寄せて置いたベッドの下の、壁際のゴミは吸えないよ。
(何を言っているんだこの人は……)
その5万円の商品じゃなく、法被を支給してくれてる会社の掃除機に、ちょうどいいやつがあるじゃないか。
そう思ってたんだけど、彼は一切触れず。利幅が小さいから売るつもりがないのだろう。
ほんの少しだけ “いじわる” してみるか、と思って「あれ? そっちのやつは関節がよく動くんじゃなかったです?」と訊いてみた。
そしたら、「あー。こっちは、名前こそ日本の会社ですけど中身はチャイナっすよ?」
知っとるがな。
製品の善し悪しは国籍じゃなく、造りが良いかどうかで決まるのさ。
「使ってたら急にモーターが止まって、焦げたような匂いがしてたから、たぶんカーボンブラシの磨耗だと思うんですよ。だからブラシだけ取り寄せて自分で替えれば安く上がるんですけど、本体も買ってからだいぶ経ってるし、この際買い替えてもいいかなって」
「いや、ブラシは高いっすよ。普通に新品の掃除機買ったほうがよっぽど得」
(おーい、カーボンブラシの値段知ってるかー? 補修部品の価格表とか見たことないのね)
詳しい人ならご存知のことだろう。
今の時代、メーカー直派遣の説明員なんてほぼゼロと言っていい。
みんな、どこかしらの派遣会社から適当な教育されたあとにポンと送り込まれて、入店許可証をもらって時間給で仕事をこなしている。
まあ、僕に言わせれば「がんばりましょう」のスタンプ、かなぁ。
チャイナがどうの、なんて話を聞かされたあとに、彼はこんなことも話していた。
「ま、僕らもこんな格好で立ってますけど、派遣社員ですからね、普段は別の仕事してますし。上から『行け』と言われた店に行って、『売れ』と言われたものを売る。そんだけっすよ」
べつに僕から訊いてもいないし、そんな業界の歪な構造も、嫌と言うほど見てきている。
業界経験のある人間が普通のお客のふりをして、店頭に顔を出すことは少なくない。
当然、メーカー説明員を含めた販売員(店員)より色んなこと知ってるし、メーカーが説明会で言わない自社製品の欠点も、他社の情報もみんな分かってる。
スタッフも色々と披露したかったんだろうけど、このお客はどんな人なのかってのをちゃんと見てから話さないと、対人スキルの低さがバレるだけで何もプラスにならないという残念な結果になる。
今回もそうなったんだけど、きっと彼は気づいてない。
実家の掃除機、どうするかね。引き受けた以上「適当に買えば~」とも言えないし。
はぁ。
今回の BGM:
One Night / After 7