[お母さん!元気な双子の男女が生まれましたよ!]
-3年前-
佳奈「おーはよっ!」
葉琉『うわっ!ビビッたぁー、おはよ!』
こんな何気ない会話で1日のスイッチが入る。
私は栗田佳奈。中学生3年。私には幼馴染がいる。百瀬葉流。急だけど私はかっこよくて優しくて勉強も運動もできてイケメンな彼のことが好きなのだ。
その日の帰り道『俺さぁー。笑ってる佳奈好きだよ』と照れくさそうに言ってきた。
心の佳奈(葉、葉琉が、わわわ私のえがおがすきー!?…よーしっ笑顔だ笑顔!)
恥ずかしかったし嬉しくもあったし、ドキドキだった。
そんな何気のない日々が続くと思っていた。
ある日の帰り道葉琉が突然倒れた。私はパニックになってほぼ記憶がない。でも何かに乗ってどこかに葉琉が連れていかれた記憶がある。返された葉琉はぐったりしていた。
数分後、葉琉の両親がやって来て葉琉に話しかけたあと私に《葉琉を見ておいれくれてありがとう》と優しく言ってくれた。少ししたら葉琉は天使に連れていかれてしまった。私がどんなに訴えおうとそんなのに見向きもしないで行ってしまった。
-お葬式-
《葉琉ぅぅーー!!!葉琉ぅー》
みんな泣き崩れていた。
白い箱に入った葉琉は優しく微笑んでいた。
私が泣いていると『笑えよ。』そんな声が聞こえた気がする。
私は目を赤くしながら微笑んだ。
-数ヶ月後-
「ねぇねぇ聞いてよ葉琉ー」
葉琉との写真の前に立って葉琉に話しかけた。
「私ねぇー、高校受験受かったの!」
『よかったな!』また声が聞こえた気がする。
この声はいつも落ち込んでる時やとても嬉しいことがあったとき、勇気をくれる。
-二年後-
高校二年になった。(めんどくさいなぁ)とか(今日は何しよー)とか考えながら帰っていた。その次の瞬間。
キキッー!!!!
ドスッ!!
嫌な音がした。周りを見た。みんなが私を見てる。(恥ずかしいなぁ)そう思った。じわじわと私の周りを紅に染めて行く何かがある。(血か。う''ぅ!)正体がわかった瞬間私の体をいたみが襲う。
「痛…いよ…苦…しぃ…ょ…」白いようで暗い光に包まれた。
〈こんにちわ〉
白いスカートに金髪。青い瞳に白い肌。黄色の輪っかもある。
(天…使…?天使なの?死んだの?私。)
〈貴方はトラックの信号無視による衝突事故でほぼ即死という形で亡くなりました。〉
「本当…?」
〈間違いないはずです。再度確認しますが、栗田佳奈様でしょうか?〉
「は、はい。」
〈ようこそ。死後の世界へ。ではこちらへ。」
天使はとても礼儀正しかった。あ、そうだ。葉琉の事聞いてみよ。
「あ、あの。葉流。百瀬葉琉って知ってますか?二年前に死んでしまって。」
〈百瀬葉琉様ですね。えーっと。…あ!彼の方ですね〉
「彼の方?知ってるんですか?葉琉の事。」
〈はい!そういえば『俺は佳奈が死んでここに来るまで待つ!』とおっしゃってましたよ。〉
「嘘!?急がなきゃ!天使さん。この先ですよね。私急ぎますんで!また!」
天使は笑顔で見送ってくれた。
(!)
私は涙がこみ上げてきた。
(葉琉だ!葉琉に違いない!)
「葉流ー!!!!」
『!』
ギュッ
『ごめんな。急にいなくなって。俺さ、伝えたいことがあるんだ!』
「謝らないでよ。実はね、私も伝えたいことがあるの!一緒に言わない?」
『うん!そうしよう!』と言わんばかりの顔をして葉琉がうなずいた。
『「実は私(俺)貴方のことがずっと好きだった!付き合ってください!」』
見事にシンクロした。お互いよろしくねのハグをした。
しばらくして天使がやってきた。
〈こちらが説明書となります。簡単に最初に説明しますね。こちら天国では危険な事、危険な物を持っていた場合地獄に連れて行かれます。天国では1年間過ごしてもらい、その後残るか来世に行くか選べます。選択はご自由です。以上となります。それでは良い一年を。〉
「『さようなら天使さん!』」
-1年後-
【ご自由にお選びください。】と書かれた看板の前に移動した葉琉と私。顔を見合わせてうなずいた。同じ意見っぽい。
『来世でも元気でよ!俺、百瀬葉流は栗田佳奈のこと、ずっと大好きだ!!』
「うん!葉琉も元気でね!私も、栗田佳奈も百瀬葉琉のことが大好きだよ!!」
そう言って私達は手を繋ぎながら白くて明るい光に包まれた。
「『おんぎゃあ!おんぎゃあ!』」
[おめでとうございます!お母さん!元気な双子の男女が生まれましたよ!]