東京はキラキラした大都会というイメージを刷り込まれて東京の高校に一人で行った。ホームシックをなんとか乗り越えて。たしかに最初は楽しかった。
でも、最近は気疲れがとれなくなった。上京する選択が自分の身の丈に合わなかったのかもしれない。おなじ高校の子たちは皆垢抜けていてバイトを掛け持ちしてフェスやライブの推し活に励んだり当たり前のように友達と一緒に泊まりがけの旅行に行ったりする。うちの学校が私服系のそこそこ裕福な子女たちが通う高校だからなのかもしれないけど、自分でボランティア団体立ち上げたり被災地ボランティアに自費で行ったりと行動力が半端じゃ無い。
自分は。自分はなにがあるんだろう。中学まではそこそこ頭がよかったので優等生扱いされてた。親戚が成人ばかりだったので大人には慇懃な物言いをして趣味の合う学校の先生に気に入られてた。要するにただ媚びへつらいがうまいだけ。なにかを一から創造するほどの頭の良さもなく同年代のアイドルとか部活とかに情熱を燃やしてる集団の中にいると萎縮して原稿用紙や大人を前にしたときのように言葉がすらすら出てこない。お堅い言葉を使ってなにかを描写するのは得意だけどそれはただ脳の貯蔵庫に蓄積された語彙力の一部を映し出してるだけ。同年代の女の子たちみたいに若者言葉を使って素直でまっすぐでときどきちょっと攻撃的な言葉を相手にズバンとぶつけることができない。いつも遠回しな言い方をするので結局曖昧な空気のまま会話が終わる。臆病。無能。愛想はよくても心の中では「なんでわかってくれないの」と幼稚な本当の自分が叫んでる。ひねくれてる。クラスではおとなしい子と思われてるけどほんとは全然そんなんじゃない。未熟で表現することが下手くそで要領の悪いコミュ症のマ●ガキがほんとの自分。
いつか誰かの唯一無二になってみたいなってバカみたいな夢をたまに見るけど、友達の輪さえまともに広げられない自分にそんな相手が現れるはずがない。