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強制された読書の効用

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人事案件に数多くかかわってきた。
シニアな方との面談は、殆ど雑談に終始することが多い。

例えば、いつも話が長い某本部長との面談。
今までも、さんざ蘊蓄話に付き合わされた。
蘊蓄のテーマは色々だが、今回は文学。
まだ開けていない引き出しがあったんかい、この人は。
思わずそんな顔をしてしまった。

「今は自由の価値ばかりが叫ばれる時代だけど、強制されてよかったと思うことも多々あるんだよねぇ」
本部長は、いきなりそう切り出した。
といいますと?ときくと、
「学生時代に強制的に読まされた本が、僕のこれまでの歩みの基礎になってるなーと、この歳になってしみじみ思うんですよ」
「ほー」

本部長が通っていた小学校では、入学前に、
「世界名作文学全集のうち、3冊以上読む」
という課題があったそうだ。
3冊以上であれば何冊読んでもいいわけで。
本部長は、近所の子と張り合っているうちに、全集をすべて読破。
「当時読んだのは、子供向けに編集された簡易版だったけど~」
年齢を重ねるにつれ、その本家バージョンをごく自然に読むようになったとか。
「それがさ、その時期に履修しておいて大正解だった!という作品ばかりなんだよ。
というのは、そもそも、僕たちが直面するいろんな問題って、僕たちの先達が経験済みのことばかりでしょ?
で、頭が良くて表現力のある人達が、文学という形で、そういった問題にどう対処するか、時空を超えて彼らなりの知恵を共有してくれているわけだ。
言ってみれば、人生の指南書だね。例えば…」

1.ロマン・ロラン「ジャン・クリストフ」
「『友だちが欲しいという願いは、この人生で一番実現しにくいもの』という主旨の一文が作中にあるんだよね。
これ読んだ直後、たまたま中学の文化祭の準備が始まる時期で、僕はその頃、クラス中から無視されて仲間外れにされていたわけ。
その時、
『あー、そういえば、ノーベル文学賞作家がそんなこと書いてたなー』
と思い出して、
『実現しにくい願いは潔くあきらめて一人を極めてみるか。クリストフもあきらめて、黙々と作曲に励んでいたもんな~』
と気持ちを切り替えて、一人で参加したのね。
クラス対抗の工作展示だったんだけど。
みんながワイワイ、喫茶とか演劇の準備なんかやってる中、一人で工作のテーマ考えて一人で設計して、一人で制作して…。
その間、クラスの子たち、一人も話しかけてくれないのね。
群れるタイプの行動パターン、ほんとによーく見させてもらったな、当時。
で、工作展示、クラス対抗なのに、一人で制作した僕の作品が優勝しちゃったわけ。
中学校という教育の場における文化祭の精神って?
と笑っちゃったね。
この頃から、徐々にぼっち耐性を強化してきてるんだよね~」

2.マルクス・アウレリウス「自省録」
「高校時代、僕のノートをコピーしたがるクラスメートがいたのね。
大したことじゃないので快く認めたら、そのコピーを僕の知らないほかのクラスの子がコピーして、その子の知り合いがさらにコピーして…。
って感じで、僕のノートのコピーがどこまで拡散したのか分からない状況に。
で、そのコピーのコピーを入手した学生たち、僕に会っても一切お礼を言わない。
不愉快だなぁと思っていた時に、たまたまアウレリウスを読んでね」
「なんて書いてあったんですか?」
「目が見る機能を果たしたからと言って、君に感謝を求めるか?
足が歩いたからって、お礼を言えと言うか?
目も足も、そのために作られた各々の機能を果たしただけである。
人間は、親切な行いをするよう作られているのだから、あなたはその機能を使っただけ。
感謝など求めるな。
そんな感じだったと思う」
「ほー」
「あまりに納得してしまったので、お礼が無いことにモヤモヤするのはやめにしたよ。
それ以降は、親切にする前に、
『これは、お礼を言われなかったらもやもやする案件だろうか』
と自分に問いかけて、
『いや、しない』
とハッキリ思えた場合だけ、親切を実行することにしている。
だから、お礼を言う言わないでフラストレーションがたまることはなくなった」
「ほー」

3 湯川秀樹全集
本部長の話は一向に止まらない。
次は、
「19歳の時、進路で悩んで一度自殺しようとしてさ~」
などと、軽いノリのまま言いだした。
「その時、突然閃いたのが、湯川秀樹全集の一節。
老子の有名な『天地は仁ならず、万物をもって芻狗となす』を引用していたのね。
自然界に情けというものはなく、ヒトだろうと何だろうと、祭りで使われる藁人形の一つに過ぎない、みたいな意味なんだけど…」
「はあ」
「これを引用して、湯川博士が書いてるわけ。
祭りが終わってしまえば、藁人形は火にくべられ、燃やされておしまい。
『人間の一生もそうだというなら、別に頑張って生きなくたっていいじゃない?』
と考えることもできるし、
『どうせ限られた期間のことなんだから、好きなように生きてやれ』
と考えることもできるって。
これ思い出して、急にバカらしくなったのね。
皮肉なことに、この世界じゃ、『敢えて死ぬ』ことが、『漫然と生きる』より面倒でしょ。
時期が来る前に死のうと思えば、頑張らなくちゃならない。
努力が必要になる。
その努力の価値あるのか?
別にそんなに頑張って自分で手を下さなくても、時期が来れば、無情な天地が僕という藁人形を綺麗に処分してくれるさ。
そう考えて、運を天に任せることにしたわけ。
その結果、こういう軽佻浮薄な仕上がりになったわけだ」
そう言って、本部長は軽薄にきゃはははと笑った。

面談は、1人1時間。
本部長、今回も1人でずっと喋ってたな。
去り際、
「『僕の人生の決め手となった文学の一節』ってタイトルで、僕も本書こうかな~」
などと言い出した。
(それで、それを全国の小学校の課題図書に指定してもらって、若者たちに強制的に読ませるとか言うんじゃないでしょうね)
と思ったが、これを言うと、また話が長引きそうなので、何とか沈黙を守った。
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