ハッピーバースデー。
アンハッピーバースデー。
冒頭のその言葉が残っている。
僕の誕生日は、
家族が祝ってくれるだけの誕生日。
そう。家族だけは祝ってくれるんだ。
それを当たり前に思っている自分がいて、
いつしかそれを
「大切な人の誕生日だから祝うんだ」
と、結論づけていた。
だって、僕自身がそうだから。
大事な人の誕生日は、ちゃんと祝いたい。
ちゃんとした日をちゃんと祝うことが
その人と繋がっている証になる。
そう、信じて止まないんだから。
でも、心のどこかでは、
それをおかしいと思ってもいるんだ。
生は人の起源。それはわかっている。
でも、祝うのは出会えたことのはずだ。
急に生まれてきてくれたことを祈るなんて
変な話だと思うんだ。
生まれなければ出会えなかった。
いや、出会えたから生まれを祝うんだ。
一体どちらが先なんだろう。
いつも奇妙な気分になる。
実は、誕生日を祝いたい人がいたんだ。
もう、永遠に伝えることなんか
できやしないんだけど。
それを考えた時に、
冒頭で挙げた言葉を、ふと思い出した。
あぁ、その言葉を教えてくれた人は
宇宙に行こうとしたんだ。
そして、本当に行ってしまったんだ。
みんなみんな、居なくなってしまうね。
お祝いをしたい人も、
私に大切な言葉を教えてくれる人も。