上記のラベルの様な内容を、過干渉な同居人に伝えました。今更、私に他者を思いやり愛する事など期待されましても重いだけです。本心を伝えましたが、きっと貴女の心には何ひとつ響いていない事は私が一番良く分かっているつもりです。「なぜ、相手の目を見て話せないの？」それは、幼い頃の私を取り巻く周囲の大人達が歪みあったり睨み合っていたから。
「どうして、アニメにしか興味がないの？」それは、面前に居る生身の人間からの罵詈雑言よりもテレビの向こう側でいつも前向きに仲間達と頑張るキャラクター達から発せられる台詞にいつも心が救われていたから。
「どうして、結婚しないなんて酷い事を言うの？」何故、わざわざそんな野暮な事を娘に尋ねるのか理解に苦しみます。それこそ愚問というヤツですよ？学生時代から現在においても私の主張は一貫して「そんな紙切れ一枚で家族にも他人にもなる不可思議で面倒な儀式に興味はない」と伝え続けている筈ですが。
どうして、未だにご理解頂けないのでしょうか？
真っ当な人間ならば、おおよそ想像すらできない程のドス黒い感情が私の心に住み着いて居座り続けているのです。それは、きっと私自身の中に存在する内なる子供で、母が亡くなった今その存在と真摯に向き合えるのはもう私しか居ないのです。
何度もこの家を出ようと試みましたが、その度に心を病みました。まるで、内なる子供が反抗しているかの様でした。
「いつか、結婚して子供を産んで幸せになって欲しい」母が私に遺したその言葉は何も知らない世間様が聞けばさぞ娘への愛に満ちた素晴らしい言葉なのでしょう。
私には己の理想で相手を縛る呪いの言葉にしか聞こえませんでした。
どうすれば、ひとは心から笑えるのでしょうか？
どうすれば、ひとは心から幸せを感じることができるのでしょうか？
唯ひとつ、私の心を置き去りにして生きたひとが言っていい台詞ではないという事だけは分かります。
「明るい人間になりなさい」
この無責任な言葉が私は大嫌いです。
こんな、誰にも言えない鉛のような感情を抱かせたのは紛れもなくこの破綻した仮面家族です。
今更恨んでなんかいません。安心してください。私の代で責任を持って終わらせますから。
