今しがた見た夢。鬱の苦痛の中の安らぎ。
神に許しを請い、色々なものに許しを請い、何が悪いのかもわからないが苦しい何とかしてくれと叫び続け、一時眠れたつい今しがたに見た夢だ。
黒衣の魔術師、錬金術師、魔法の絵筆…そういった多数の能力を持った者が学校に臨時講師としてきた。
名前は知らない。尖がり帽子に黒ずくめ、片黒縁のメガネに、星屑のように輝く瞳と…その卓越した能力以外は…文化祭のような催しの準備をするなか、私は彼に教えを請うた。
すると彼に”鉛筆削り”を探すようにといわれた。
気に入ると思う鉛筆削りをと…。
催しのさなかに私はそれを忘れてしまった。頭の片隅にはあったのだが…忙しさにかまけて終ぞ探すこと能わずであった。
催しは繁盛に終わり、彼が学校を去る日になった。
「この行事で各自何かつかめたと思いたい。私はとある者に、私が気に入りそうな鉛筆削りを探してほしいと」
体がびくりと震えた
「それは、探しても探さなくてもよかった。鉛筆削りはその人自身なのだから」
能力にかまけてばかりで 心の余裕がなければ
口上が進み、終わる…。
拍手が起こり、静まると…一人の女生徒が強い口調でこう言ったのだ
「それは違いますわ」
一斉に彼女に視線が向いた。彼女は学園のアイドルともいうべき、容姿、才能を持った娘だ
「スキルにかまけてばかりで、心に余裕がないのは、などといえるのは、すでにある程度のスキルをもっているからいえるのですわ」
更に彼女は続けた
「自信を持ち、楽しむ創作ができるのは、既にその領域に達している人だからこそできるのですわ…わたしは周りから見れば眩いばかりに思えるでしょう。ですが、その実はシャルンホルスト…ただの白い亡霊…才能も何もない哀れな女なのですわ」
「君は自分に才能がないと、そういうのかい?」
講師の言葉に彼女は、凛とした更に強い口調でこう答えたのだ
”一欠片の才能もありません”と…
彼女の頬に一筋の輝きがその瞳から流れ零れ落ちていた
私は立ち上がった…そして叫んだ
「貴方がシャルンホルストならば、わたしはグラーフシュペー!!…ただ一人戦い、ただ独り咆哮を上げただ一人で沈んで逝った!!いまでも私は戦っている!あなたと同じように!!私も別の場所で同じように声を上げた…」
後は体が勝手に動いていた
「わたしはしがないただの豚…現実という世界では醜く助けを請い叫び、どうしたらよいのかわからぬ疑念に声をあげております」
醜い豚が、美しい少女の頬の涙をぬぐい手をかざす
「あぁ…だが、貴方のその美しい白薔薇の方な唇を奪う勇気は、私にはありません…しかしもし…夢かなったならばその時、貴方の唇を奪い去りに参りましょう」
二人は錬金術師に向き直る
「「光を…教えてほしい」」
白薔薇の君 眩いばかりの白い世界を作り出す その性質は雪原の様な厳しさと慈愛に満ちていた
黒薔薇の君 彼の描く絵は全てを鬱に引きずり込む しかし…描いた本人の苦痛の中の闇に広がるのは途方もない優しさであった。
七色の錬金術師曰く、色とは7色だけではなく、例え一色であっても無限に広がるものだと言い残している
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…最初。とても、とても…プライドの高い夢だと思った。
黒薔薇の私は”できない側の人間”
対する白薔薇の彼女の方は”出来る側の人間”
そして講師は、教えてくれる誰か…”救世主”だ。
こう見ると自分をメチャクチャ高く評価していることがわかる。
けれどよくよく考えると…欲しいのはスキルそのものではなく”光”自分はできている、できるという希望の”光”こそが欲しい物だった。
技術があるのに自分を認められないのと、どうやっても手に入れられなくて藻掻いているのと…その二つとも内側で求めていることは同じだった。
”夢は面白い。ずっと夢を見続けられるなら、私はずっと寝る方を選ぶ”
ヴァルキリープロファイルだったかな。
PS
流している小瓶のシリーズは、数年以上前の物が多いのだけど…押しの子ってあるじゃない?あのアイドルキャラたちの瞳、ありえねー!!っておもていたのだけど…この夢に出てきた七色の魔法使いの瞳、あんな感じだったのを思い出したわん。