やあ、ぼく、カレイだよ。🐟️
『ヒラメ』じゃなくて、『カレイ』の方ね。
突然だけど、ぼく、明日の朝一番に この水槽から出されて、そして『工場』という所へ 連れていかれて………そこで 珍味(ちんみ)となって、どこかのスーパーや コンビニへと出荷されゆく運命(さだめ)なの。
…だから 今夜は『お祝い』だって、特別に カレーライスを ふるまわれたのさ。
🍛🐟️
でも、ぼくには ちょっぴり 辛すぎるみたい。
…だけど、ぼく、辛いなんて言わないよ。
だって 辛いなんて言われたって、回りのカレイ達だって みんな同じように 辛いし、手の出しようがないし、どうしていいかも 分からないのが、ほとんどだもの。
…そういうことが 続いて、だんだんと そういうのが 理解できるようになったらね。
ぼくら カレイは いつしか、『辛い』とは 言わなくなる。
ううん。…言えなくなってしまうのさ。
だから ほら、みんな 何も言わずに、黙ってるだろう?
でもね、なぜだろうね。
それでも 時々は、『辛いよ、辛いよぉ』って、顔を真っ赤にして、涙どころか よだれまで ぽたぽた 流して…
誰か に向かって、お腹の底から、思いっ切り 叫びたくなる時が あるの。
🗯️🐟️💦
そういう時の ぼくは、いったい 『何』を求めて 叫ぶのだろう?
…よく 分からないけれど、きっと、そう たいしたことじゃあない気がしないでもない。
たとえば、『水を お飲みよ』って、コップを差し出してくれるとか。
『大丈夫かい?』って、ちょっぴり 背中をさすってくれるとか。
『辛かったね』
その、ただ 一言が、ぼくは きっと 欲しかった。
………そんな気がするの。
🐟️
さて。
…いろいろ 考え事してたら、いつの間にか 夜明けを告げに、大陽さんが のぼって来たみたい。
☀️
さよなら、他のカレイ達。
ぼくは、カレイ。🐟️
もうすぐ 珍味。
そのあとはー
~続~
(※謎の思考回路シリーズ。🐰)