同じ部活の子。
あるとき、一緒に帰ろうとしたのにいつもは饒舌なくせ全然喋ってくれないし、歩きも遅くて、正直いらいらしてた。
というのもその子だいぶ変わった子で。好きな先輩にリスカ痕や血まみれの洗面台をラインで送りつけたり、ネットの一人称が(マイノリティでもないのに)僕とか俺とかで。
あんまそういうのリアルで出してくる子好きじゃなかったし、部活での様子が楽しそうだから、病むような奴には見えなかった。
だから、帰り道そいつと別れて、つい独り言を言ってしまった。
ここでも言えないようなことを。
そいつを侮辱することを。
聞かれていたかもしれない。
怒られるかな。
少し不安に思ったけど、結局そいつの機嫌が悪い理由が分からなかったので、怒られてもいくらでも反論できる心持ちでいた。
今日、ある放送が流れた。
そいつの1番好きな先輩と同じクラスの人が、死んだらしい。
放送を聞く限り、自殺と推測できた。
その死んだ人と同学年の人には、もう伝えられていたらしい。
あの先輩は、どれだけ悲しかっただろう。
先輩がそいつに、事前に「友達が亡くなっちゃった」って相談していた可能性はある。
そのせいでこの前落ち込んでいたとしたら、大いに辻褄が合う。
もしこの考察が合ってるとしたら。
そして私の独り言が、そいつに聞かれていたとしたら。
私は、とんでもないことをやらかしてしまったかもしれない。
明日は部活がある。
どんな顔して会えばいいんだろう。
今はただただ、自分の言ったことを心から反省しているだけ。
そして、私の発言がそいつに聞かれていないこと、そいつの悩む理由が別のことであることを願うだけ。
あんなこと言わなきゃよかった。
馬鹿だ。