ほんの少しだけ小説家になれた、あたしの青春。

サークルで冬コミ用に同人誌を製作したんだけど、他の人の小説やらを見ていたら、自分の作品だけ妙に浮いているような気がして落ち着かなかった。

まあ、他の人が青春や魔法少女のようなキラキラとした題材を扱っていたのに対して、「～数多くの民族がようやく一つに纏まろうという気概が生まれ、「建 国」を合言葉に多民族が一集団へと昇華されていく～」なんて始まり方をすりゃ読む方も驚くよねって感じ。

浮きに浮きまくって入るけれど、自分としては満足かも。ページ制限で書ききれない事はあったけど。

やっぱり、文章を書いていたら、その文だけ上手くなるわ。
文章だけじゃない、知識を得るほど、経験を積むほど、登場人物や世界観が深まっていく。


私は地球以外のまったく架空の世界を想起するのが好き。ファンタジー大好物。
一から作り上げるからこそ、世界の面積や気候、政治・社会制度、宗教・風俗習慣まで詳細に考えなければならない。
それが凄く面白いの。
特に宗教観に関しては、そこで暮らす人間の在り方にも関わってくるから、腕の見せ所。宗教学専攻の本領発揮ってやつ。

キャラクターも見せ方が分かってきた。詳細なプロフィールを作るときに、「ダメなところ」を書けると、とりあえずは合格点かな。自分の子は皆好きになっちゃいがちで、良いところばかりを考えてしまうけど、実際に生きていたら悪い部分だって当然あるわけだし。
あとはジョハリの窓もけっこう役立つ。
自分の知る自分、他人から見た自分、そこまで深く考えられると、本当に味わいのあるキャラクターになってくる。
勿論、キャラクターの宗教観も入れ込みながらね。
そうやって作っていたら、脇役や主人公とあまり関わらないキャラクターも主役に出来るくらいに、その人の人生ができあがる。


あたしは魔法が大好きだから、その仕組みについて考えるのが好き。
ギリギリまでエネルギーや質量保存の法則を守りつつ、再現可能性を高めるにはどうしたら良いか、魔法はどのような形で社会に受容されているのか。考え出すと止まらないよね。
最近は「魔法の法規制はどうなっているのか」に興味が移り始めて、まったく架空の論文を書いて遊んでる。一人遊び最高。


小説の執筆も勿論だけど、イラストを書いたり、作曲したり、そういった創作の原点はきっとファンタジーにあるのだと思う。

幼い頃から慣れ親しんだギリシャ神話も、お世話になったファンタジー小説も、卒業研究で扱ったアイルランドの民話と妖精物語も、無駄な物なんて一つも無かった。

ファンタジーへの衝動、宗教学や哲学の専門知識、科学分野の教養、どれ一つ欠けても、きっと良い作品なんて作れなかったと思う。

よく、「将来使わない勉強を何故しなければならないのか」という言葉が散見されるけど、それに対するあたしの答えが、この創作なんだと思う。
それとは別に、最低限の知識がなきゃ正しい情報を見極められないとか、普通に知らないことが多いってちょっとダサいって価値観もあるけど。


結論、勉強は大事。無駄な勉強なんてない。
学生を卒業するあたしの答え。