子供の頃って何で毎日があんなに楽しかったんだろう。何で毎日があんなに輝いてたんだろう。
授業中には皆精一杯手を挙げて、休み時間にはドッジボールやら鬼ごっこして遊んで、給食の余りのデザートをじゃんけんして取り合ったり、虫とりしたり、休みの日にみんなで友達の家に遊びに行ったり、自転車でどこまで行けるか試してみたり。雨あがりにかかった虹、燃えるように赤い夕焼け、羽のような形の雲、綺麗に染まった紅葉の葉っぱ、帽子がついたままのどんぐり、たんぼで泳ぐおたまじゃくし、塀の端から覗くトカゲの青い尻尾。図書館で何度も借りて読み返した本、毎週楽しみにしてビデオまで撮ってもらってたテレビアニメ、誕生日に買ってもらったゲームソフト。
あの頃は何でもかんでもキラキラしてて楽しかったのに、今じゃ曇り硝子を通したみたいによく見えない。楽しいのに、楽しいはずなのに、いまひとつ楽しくない。楽しいのあとの満足感と同時に虚無感がある。綺麗なものを見ても昔ほど感動を覚えない。昔はもっと、これ以上のものは無いんじゃないかって本気で思うくらいの感動があったんだ。私は何を無くしてしまったんだろう。何が変わってしまったんだろう。あの頃の自分が羨ましくて仕方ないんだ。