誰が自殺するのかなんてわからない
いつも机にふせて居眠り
ずっと寝てるのに、いつまでも眠そう
生きる気力ナシってかんじで、押したら余裕でぶっ飛ぶ。
動くのめんどくさがるけど、太ってない。むしろ痩せていた。食べるのも面倒だから
美人の母親によく似ていたから、可愛い顔をしていた。無愛想じゃなくて、もっと他の女子みたいに女子っぽくしてたらもっとモテてたと思う。ちょっと抜けた所や可愛い顔、仕草に恋をした男はみなフラれていた。元同じ中学だったから、浮かないようにいつも手を貸していた。ぼぉ~ってしてるから、車にひかれるんじゃないかと冷や冷やさせられた。
家まで迎えに行って、引きずるように登校。居眠りしてるから、担ぐように下校。
そんな毎日が突然終わった
目の前で飛びおりた。
たまたまあいつの家に忘れ物をしたから取りに行った。いつもみたいに庭のベンチに腰かけていた。急に立ち上がって柵に手をかけた。ちょうどあいつの胸のあたりまでの高さの柵。高台にある家のまわりは柵に囲まれてる。嫌な予感と同時に、あいつは柵に腰かけていた。たまらなくなって慌てて叫んだけど
振り返ることもなく、コンクリートに飛びおりていた。あまり音はしなかった
あまりのことにすぐには動けなかった
さっき起きたことが幻覚なのではないかと思うくらいにまわりは静かだったけど、さっきのあいつのように柵に手をかけて下を見ると、細い体が赤い血に浮いていた
手術中の赤い光を見詰めて待った。
誰も来なかった。両親も祖父母も
助かったのに意識は戻って来なかった
いつもみたいに揺さぶったら起きるんじゃないかと思うくらいに寝てるみたいで、それが余計に苦しくて、声を上げて泣いた
何時間かしてやっと祖父母が来た。県外から来た老夫婦は苦しそうに泣いていた。
父親はさらに何週間かして来た。娘がこんな状態なのに、ろくな父親ではないと思っていたが、海外の仕事故に遅くなったらしい。来るなり何時間も娘の手を握り泣いていた。
母親は来なかった。この世にいなかった
寝たきりだったが、あいつが飛びおりた少し前に亡くなっていた。自殺しようとしたのは正に母親が理由。母親が亡くなっていたなんて言っていなかった
美容師の資格を獲得し、仕事をしながら病院に通っている。そしたら今日も聞こえてくる「リハビリ疲れた。寝たい」って。何年寝てたと思ってんだか
今度こそ支えてやらないと