風が聞こえる。
こころの耳をすませれば
風の声が聞こえる。
髪がふわりと舞い上がる。
そして
僕を通り過ぎていく。
君はどこで生まれて
どこで消えるんだい。
どこからともなく現れた風。
どこへでも行ける風。
いろんなところを見ながら
いろんな人を見ながら
いろんな世界を見ながら
いろんな星を見ながら
どこへ行くのさ。
聞いたって答えてはくれないだろう。
僕がどんなに君を想っても
君は一方通行だから想ってはくれないだろう。
でも
君になれたらどんなに気持ちいいだろう。
世界を見ながらいろんなものと出会える。
君は雨と雷と仲がいいだろう。
よく嵐を巻き起こすしね。
それに太陽とも仲がいい。
晴れた中で吹く風は最高だよ。
君は誰とだって仲がいい。
それに優しくすることもできる。
春風は暖かくて優しくてとっても好きだ。
暑いときには涼しくしてくれるね。
芸術センスも抜群じゃないか。
落ち葉が舞う姿はとっても綺麗だよ。
時には雪と一緒に怒ったりもするね。
あの吹雪は怖かったな。
僕は君のことよく知ってるよ。
でも
君の見ている風景や
君の見ている景色や
君の見ている物は
全く知らない。
連れて行ってよ。
同じものが見たい。
僕の横を取りすぎていくのなら
連れて行って。
僕は君を感じることは出来るけれど
想うことは出来るけれど
聞くことは出来るけれど
見ることはできない。
見せてくれることもしてくれない。
あぁ。
君になりたい。
風になりたい。
世界が見たい。
風が聞こえる。
こころの耳をすませれば
風の声が聞こえる。
髪がふわりと舞い上がる。
そして
僕を通り過ぎていく。
Lilann