後ろ暗い気持ちがあるんだからいいことじゃないんだろうなあ、やっぱり。
有頂天のち大失恋のち堕天。
私は所謂オタク。
漫画好きが高じた挙げ句、失恋からの現実逃避であれよあれよ。
逃れまくった現状、心の恋人が数名。
あるものは紙面に、あるものは画面に、あるものは頭の中に。
別れてだいぶ経っても元恋人が好きすぎて、悲しくなったから乙女ゲームを始めてしまった。
ガラパゴス時代、なにがなんでも無課金の誓いのもと。
画面の中の彼らは絶対に私を傷つけない。
決まった表情しかしないけど、たまに照れた顔なんか見れるとこっちが照れる。
当たり前だけど破局なんてないし、何より私を大切にしてくれる。
なんなら時々お姫様になっちゃったりするし、戦ってくれちゃったりもするし。
でもスチルが出ると、キャー!ってなった後で凄まじく虚しくなる。
目とか描かれてなくてもまあ、私ケータイ持ってるわけで、抱き締められてるのは共通のヒロインなわけで。
なんなら恥ずかしいから名前も自分のじゃないわけで。
ついでに漫画のあの子に恋すればうっかり彼女が出来ちゃうわけで。
愛しの剣士はもう紙面にいないわけで。
私だって幸せでいたいわけ。
なにも会えなくなった元恋人がクリスマスの夜誰と何してるか…いや知らねーよ!って悲しくなって漫画ドカ買いしたりとかしたくないわけ。
優しくされたい、愛されたい。
15日の間の筋道通りの恋だって、絶対に傷つかないんだから乙女ゲームやってる方が幸せなんじゃない?
漫画読んで夜な夜な妄想してる方が幸せなんじゃない?
もう捨てたお揃いだったストラップに似たの見つけて悲しくなるよりよっぽど幸せなんじゃない?
でもそんなこと親に言える?まさか。
まだまだ猶予があるとはいえ、私だっていつかは結婚したい。
でもそれには恋をしなくちゃ。
現実世界で、あの人じゃない誰かに。
…あの人が好きでなにがダメなんだろ。
あの人が好きで辛いから逃げて、なにがダメなんだろ。
誰もダメだなんて言ってないのにダメだって思うのはなんでなんだろ。
あーあ、いつかほんとに悠太くんと出会えればいいのに。
漣くんと結婚出来たらいいのに。
SPついたらいいのに。
ネイリストになったら寛太と出会える?
でも私は夢を叶えたいな。
隣であの人が今も応援してくれてたらよかったんだけど。
あの頃に戻れたらいいのに。
っていつまでも逃げてちゃだめなんだよなあ…。
親とも友達とも違う、大きな愛で包まれたい。
たとえ擬似的なものだとしても。
今のままじゃダメなんだけど、でもやっぱり愛されてたいから当分やめられそうもない。
画面や紙面に恋して誤魔化して生きてるなんて人に言えたもんじゃないけど。
でもそれって悪いことかなあ。