出張でホテルに着いたのは夜だった。
7階のフロアでエレベータが止まった。
廊下を歩いたら、違和感を感じた。
「背中がざわつく。」
部屋の前で解錠すると、中から人の気配を感じた。
まただ。
部屋に入って、手を叩いてみた。
音がこもってる。
確信した。
ベットの横壁の壁紙が、一部だけ新しい。
その横にある棚を動かしてみた。
裏側部分に、飛び散った跡形の染み。
ヤバイ。
廊下を歩く靴音。
ドアの覗き穴を覗くと、……。
髪の長い女が、怖い目で覗き穴を向こう側から、覗き返していた。
ヤバイ。
慌てて、カーテンを開けたら、ドアの女が逆さまで、窓に貼り付いてこちらを睨んでいる。
馴れているとはいえ、長い夜になりそうだ。
北に水場か、最悪だ。