私は中学で吹奏楽部に入り、その年の夏休みにはきつさに耐えきれず辞めている。
さらにその年の冬休み明けあたりから学校にも行かなくなった。
で、3年遅れて妹が中学生になり、私と同じく吹奏楽部に入部。
もう辞めたいんだと泣きながら私に訴えてくる。まさかとは思うが私の二の舞を踏むようなことがあったらと思うとヒヤヒヤする。
私は学校に行かなくなったことで色々なものを失った。もちろん得られたこともいくつかあったし自分を客観視出来るようにはなったと思う。でも、一緒に頑張った仲間もいなければ辛いことを乗り越えた経験も持ってない。
学校なんかいらないと思ってたこともあったが、学校はやっぱり必要だ。数学とかこんなんどこで使うねんって思ってたけど、大切なのは二次方程式でもルートでもなくて勉強する過程だ。友達とぶつかるのも経験。理不尽なことで先輩に怒鳴られるのも経験。それがあるのとないのとではやっぱり将来全然変わってくる。経験が浅いと言葉も浅いのだ。
それを今になって身を持って実感しているからこそ、ここを何とか踏ん張って欲しいと思うのだが、お姉ちゃんだってと言われてしまえばもう口を開けない。そらそうだ。逃げた人間の逃げるなほど信用ならない言葉はない。
何とかしてやりたいのに自分が満足に立ち向かえもしない薄っぺらい人間だからただただ頷くことしか出来なくなる。喋れば喋るほど、どうにもこうにも言葉が軽い。中身がない。どこかで聞いたようなセリフばかり。
こんな自分が酷く嫌になる。
せめて私がもっと努力の人であれば、説得力のせの字くらいはあっただろうに。
経験がないと人のことも助けられないのか。
とにかく妹には頑張って欲しい。でも妹にはそれが届かない。当たり前だ。人の言うことなんて素直に聞けるほど余裕なんてないだろう。
でも頑張って欲しい。ここを乗り越えて欲しい。絶対いい経験になるから。絶対成長出来るから。言葉がダメなら態度で受け取って欲しい。お姉ちゃんも大嫌いな学校頑張るから。テストでいい点取れるように勉強たくさんするから。何を思ったか入部してしまっためちゃくちゃハードな部活も休まず行くから。だからあなたも頑張って。
何事も経験。経験してないことで経験することの大切さに気がついた。楽しいことも嫌なことも後で自分の糧となる。必ず。絶対に。
よし、自分のためにも妹のためにも、学校に部活に頑張ります。
過去も未来も関係ない。今経験出来ることをしておかなきゃ勿体無い!