高二の春、私は一年間頑張ってきたとある部活を辞めた。
何故なら、その部活で本当に頑張っていたのは私ひとりきりだったから。
「誰も頑張っていなかった」ってのは
やや語弊があるかもしれないけれど
本当にそんな感じだった。
部活の中に仲良い子は何人もいて、彼女達は大好きだったし、彼女達とお喋りをしながら過ごす部活の時間は本当に楽しかった。
…でも、それは「部活」としてじゃなかった。私の思う、本当の部活としての楽しさはそういうことじゃなかった。
向上心。真剣さ。(その部の内容)が本当に好きだって気持ち。形だけじゃない仲間への信頼。先輩への尊敬。
そういう事を鼻で笑っちゃうような、
口を開けば早く帰りたいと言っちゃうような、
部活が嫌いだった。
私はその部活を辞めて、直後に演劇部に入った。
演劇部に入るためにその部活を辞めた、という方が正しいのかもしれない。前の部活で何も問題は起きていなかったのだから。
演劇部に入ってからの日々は充実していた。
メンバーは皆演劇が本当に好きで、大会で勝ち進みたいって向上心があって、普段ふざけてるのに部活では凄く真剣で、部活そのものの体制もしっかりしてて、こう、すごくいい部活だった。
メンバーは知らない子が多くて、それもいつも私が仲良くしているような(うるさい)タイプとも違う子たちだったけれど、すごく良くしてくれた。
勿論「新しく入ってきたお客さん」だからってのもあるだろう。(自分で自分をお客さんと称するのは変だが、気を遣わせている感じをそう呼んでいる)
でも、本当に優しい人たちなんだと思う。
私自身、入部当時は興味こそあれ、演劇のことはそこまで詳しくなかったけど、どんどん好きになった。
演劇部の皆には本当に感謝している。
だからこそ、苦しい。
私は「部活がしたい」自分のために、演劇部に入った。結果的に演劇がすごく好きになったとはいえ、きっとこの動機は不純だ。
なのに、まだ皆の為に何も貢献できていないじゃないか。いつもくだらないミスばかりして迷惑をかけてるし、きっと人間関係的にも沢山気も遣わせてる。そう考えただけで自分が嫌いで、悔しくて、ぞわぞわする。
だけど、私が部員として成長できる時間も、恩返しをできる時間も長くは残されていない。
入部から4ヶ月が経ち、慣れてきたも束の間、あと1ヶ月で最初で最後の大会だ。
そしてその更に1ヶ月後には、引退が待っている。
私に今何が出来るんだろう。
発声練習?演技の練習?裏方の仕事?
いや、勿論全部だし、やってるし、もっと、もっとやらなくちゃいけないんだけど、そうじゃなくて……………当たり前を超えて、何かお返しをしたい。
こうやってつらつらと書き連ねることは出来ても、いざ彼女達に伝える言葉が見つからない。
部活内での存在価値を探すなんて、ずけずけ途中入部した分際ですごく傲慢だと思う。そんなの抜きに部活は楽しいし。
けれど、「新しく入ってきたお客さん」なんて風に自分で自分を位置付けるのは、もうやめたいの。
このままじゃ終われない。
そんな事を考えながら。
あと、二ヶ月。