腐海の底の水は澄んでいて、海面から届く光は暖かい。水面に手を伸ばせば、届きそうな錯覚を覚える。時折聞こえる同じ存在の声。心の中に芽生え、意識を得た時にはここに居て、ただ……男同士のアレソレに萌えていた。
男たちは一部例外を除き、若く、美しかった。ある時は放課後の教室、ある時は夜の公園、ある時は昼食前のオフィスで、彼らは睦びあった。
そうして、私の心の中に芽生えた存在は大きく育っていった。
そうして、幾つもの眠れない夜を過ごしてきた。楽しかった。しかし、正しいかどうかはわからない。
しかし、私はそれでいいのだと思っている。今日もまた、腐海の底から、きらきらと光る海面を眺めている。