消えてしまいたい。
死にたいんじゃなくて、私が生きてきた痕跡を消し去りたい。誰の記憶にもない存在になりたい。疲れた。外では仮面を被って生きてきた。親も私に、外に出る時は顔が出来上がっていると言っていた。親のお墨付きの仮面被りだ。外では思ったことはほとんど口に出さないで周りに合わせ、人の目に触れないように、目を付けられないように生きてきた。これが1番楽な世間の渡り方だと思った。けど、実際は苦しいし、辛いし、イライラするし、感情だらけになる。家が唯一の私が私でいれる場所だったと思う。でも、人に頼ることに命を燃やすクソババアが来てからは、家でも息苦しい。家の中の匂いは老人ホームみたいになり、トイレは臭い。家の中に、クソババアの生活圏が生まれた。友人からは、匂いが変わったと言われ、随分と周りの匂いに敏感になった。何もしようとしない者。酒に頼り、情緒不安定になる者。最近は味が分からないらしい。何があったのか話すこともせずに、行くべきところに行かない者。そんなことがあってもどこか他人事のように傍観しているような感覚を持っている私。元から家族とは呼べないほどバラバラだったのかもしれないが、クソババアが来て顕著になった。言うなれば、パズルのピースがバラバラだったものが、クソババアという異物によって全て弾き飛ばされた感じ。アイツの家族はどいつもこいつも自分の事が優先だ。人のことなどどうでもいい。私にその血が流れていると思うとゾッとする。家が家でなくなった。家族が家族でなくなった。どこをどう間違えたのか、もう分からない。周りのせいにするつもりもない。きっと、私も家の者達に、正しい接し方は出来ていないだろう。私も悪いのだ。誰が悪いのではなく、全員の行いが今の状況を生み出した。今1番まともに振舞っているであろうあの人も、もうまともではない。尊敬はするが、自分のために生きることをしないあの人の生き方は大嫌いだ。そんな人達がいる家に帰るのが、苦痛になってきた。私は受験生ではあるが、学校にいられる時間は限られている。友人に相談しようにも、重すぎる内容なのだ。たかが学生が抱えられるものではない。以前から消えたいとは思っていたが、こんなにも切実に思うのは久しぶりだ。毎日がストレスだ。匂いは違う。家の中に今まであった生活感はない。会話も減った。まるでシェアハウス。家の中までも仮面を被っていなければいけないのか。もう、消えたい。いなくなりたい。疲れた。