じんわりした話。
うちの部長は5才の娘さんがいるんだけど、娘さんと交換日記をしてるんだって。
管理職で、仕事で帰りがいつも遅くて、娘さんの5才の誕生日にも出張で帰れないと決まってしまった時、部長は娘さんに「誕生日おめでとう」の手紙を書いた。
そうしたら、娘さんから「ありがとう」の返事がきた。
数日後、今度は娘さんから奥さん経由で「初めてプールに入ったよ」って手紙がきた。
部長は「良かったね。皆と仲良く遊べてえらかったね」と返事を書いて、奥さん経由で渡した。
それが何回か続いたから、部長が「交換日記にしようか?」と提案して、今、部長には娘さんからのメッセージが毎朝届く。
家に帰ったら最初に読むんだ、とか
娘はまだ文章はうまくないけど、ちゃんと書くまで寝ないらしいんだ、とか、
出張で2日帰らなかったら2日分ちゃんと書いてあるんだ、とか、
そんな事を、部長は嬉しそうに話す。
「忙しいから出来ない、のは、親の都合だもんね。働いて稼ぐのももちろん愛情のひとつだけど、だからって赤ん坊に札束乗せておけば勝手に育つわけじゃないんだから。稼ぐだけで親の顔は出来ないんだよなあ。だからね、日記書いてると少しは父親やってると思えて、安心するんだ。奥さんにはとても敵わないけど」
ああ、愛だなあって思った。
「仕事だから仕方ない」「俺はお前たちの為にこんなに働いてるのに」と言うのは簡単なのに、限られた時間の中で何をしてあげられるかを考えたから、こんな事を思いついて、今娘さんとしっかり繋がっていられるんだと。
うちの子はまだ1才だけど、こんな父親になりたいと本当に思った。