僕にとって貴女は何でもない
僕に愛を渡す人
また、僕から愛を求む人
「大好き」なんて小学生でも発音できるのに、それが欲しいのだろうか
その程度で君が笑うなら僕はそれでいいのだけれど
逆に君が僕にそれをくれたとしても、僕はさして嬉しくない
君は僕の愛が欲しいのだろうか
そのために泣きながら傷つきながら僕の隣に縋るのだろうか
念のために言っておくが、僕は貴女を愛していないのではない
恐らく僕の愛はこの程度なのだ
僕は貴女の愛を疑う
この程度なのではないかと、口先だけなのではないかと疑う
僕自身が人を普通に愛することが出来ないからと貴女の愛も疑う
貴女はよく言う、二人は考え方が似ているねと
それならば貴女も愛を知らないのではないだろうか
それとも僕の創る、貴女を人並みに愛している僕、に気付いていないのだろうか
本物であると信じきっているのだろうか
こう悩んだとしても結論は出ず、真実はわからない
だから僕は決めたのだ
君の愛を疑うと
一生僕は君の愛を疑い続ける
そうでなければ裏切られたその日に君の首を絞めて殺してしまいそうだから
君が幸せになればいい
その先に僕の影など無くていい
君は僕が見つけた人なのだから幸せになれて当然だ
恋を沢山しなさい
愛を交換しなさい
心から思えることはこれだけだ
君が幸せになればいい
その時に僕は友人として斜め後ろで微笑むことが出来ればいい、純白に身を包む君をカメラに収めることが出来ればいい、その隣の男の顔を忘れられればいい
僕は君の隣には立てない
今君が愛するのは僕なのだろう
変化しないものは無い
どんなに立派な人も素晴らしい大悪党も年老いて死んでいく
世界は変化し続ける
その様子は大変美しく、惚れ込んだ僕は、その破片である君に目を留めた
君は死ぬまで僕を愛すという
そんな嘘は聞きたくないけれど今の君の本心ならば頷くしかなかった
僕は君の変化も、その先の未来も、全てを愛している
心から
君が幸せになればいい